総合アレルギー科について

当診療科は、アレルギーでお困りの全ての患者さんを受けとめる医療を目指しております。
他の施設では受けられない、より高度で専門性の高い医療をみなさまに提供してまいります。

当診療科について

当診療科は、当院に設置された藤田保健衛生大学総合アレルギーセンターの各診療科(呼吸器内科、小児科、耳鼻科、眼科、皮膚科)と密に連携し、より専門的な検査や治療を提供してまいります。

当診療科について

一般的な検査で原因が明らかにできなかった患者さまに対しては、当院の「アレルギー疾患対策医療学講座」と共同で、最先端の技術を駆使した原因特定を行います。

当診療科について

接触皮膚炎の世界的エキスパートである松永佳世子先生、アトピー性皮膚炎に心身医学的アプローチを併用した診療に注力されている檜垣祐子先生にもご協力いただき、他の施設では受けられない、より高度で専門性の高い医療を提供してまいります。

治療への展望

1. 成人の経皮感作による食物アレルギー抗原解析

“アレルギーは皮膚から”という概念が浸透してきています。私共の診療科には、化粧品や職業性で食物に関連した成分が皮膚から入ることでアレルギーを発症した成人の食物アレルギー患者さんが多く受診されます。化粧品の場合では、洗顔石鹸等に含有される加水分解コムギ、ソーセージや口紅に含まれる赤色成分のコチニール色素、化粧水や乳液に含まれる大豆成分などが原因成分となり、皮膚や粘膜から感作が起こり、それらを含む食材を摂取した際にアナフィラキシーショックなどの即時型アレルギーが誘発されます。職業性の場合では、回転寿司屋などに就業したことをきっかけに複数の魚類に対してアレルギーを発症した方、和菓子職人として就業する中で白あんに対してアレルギーを発症した方などを診てきました。

私共は、アレルギー疾患対策医療学講座と共同で、最先端の科学技術を駆使し、経皮感作食物アレルギーの発症に関わるアレルゲンの性質を調査しています。

この研究成果は、発症の対策(予防医療)に繋がるものと考えています。

2. 花粉―食物アレルギー症候群

シラカンバやハンノキ、ヨモギなどの花粉に感作された後、新鮮な野菜や果物により口腔内の過敏反応や豆乳によりアナフィラキシーショックが誘発される小児~成人、高齢の患者さんが多数受診されます。これらの患者さんは、「花粉症がある」、「花粉抗原と食物抗原との交差反応性により多数の野菜や果物で症状が誘発される」、などの特徴があります。

私共は、血液検査や皮膚テスト(プリックテスト)により原因アレルゲンを明らかにし、交差反応により症状が誘発される可能性のある食材や摂取可能な食材を伝えるなどの生活指導を行います。また、重篤な症状が誘発された患者さんにはエピペン®(アドレナリン自己注射薬)の処方を行います。

3. 経皮感作による小麦アレルギー

加水分解コムギ末含有石鹸(旧茶のしずく石鹸)使用後の小麦アレルギーは社会的な問題となりましたが、全国的な疫学調査を行ってもどのような人が発症しやすかったのかは明らかになりませんでした。

そのため、私共が中心で多施設共同研究を計画し、約480名の患者さんにご協力いただき、遺伝子と発症の関係性の解明を目的にゲノム解析を行っています。

その結果により、小麦アレルギーの発症予防や治療法の糸口が見いだせるかもしれません。(AMED:研究代表者 松永佳世子教授)

4. 小麦依存性運動誘発性アナフィラキシー

成人でも食物アレルギーを発症する患者さんは少なくありません。

特に、小麦摂取後に運動をすることでアナフィラキシーなど重篤な即時型アレルギーが誘発される、小麦依存性運動誘発性アナフィラキシーは高齢の方でも、ある日突然発症します。しかし、どのような方が発症しやすいのか、分かっておらず、治療法も確立されていません。

そのため、「小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの原因遺伝子解析とそれに対応する小麦品種の探索」をテーマとして、筑波大等の学外研究者と共同で治療法の確立を目指した研究を開始しています。(科研費基盤(C):研究代表者 矢上晶子)

5. アトピー性皮膚炎患者さんに対するスキンケアや心身医学的アプローチ

アトピー性皮膚炎などにより湿疹や痒みを繰り返している、小児から成人、高齢の方が多数受診されます。患者さんの中には、治療は受けていても“スキンケアが適切にできていない”、もしくは“ストレスなどから掻くことがやめられず皮疹の出現を繰り返している”といった方も少なくありません。

これらの患者さんに対し、①専門医師による心身医学的アプローチができる診療(檜垣祐子先生の診療は第4月曜日のみとなります)、②専門看護師によるスキンケア指導、を行います。

これまで治療を受けていても、なかなか皮疹がうまくコントロールできていない患者さんには、ぜひ受診していただきたいです。

6. 接触皮膚炎に対する専門的な検査の実施(パッチテスト)

いわゆる“かぶれ”は日常的に起こり得る代表的な皮膚疾患です。

原因を避けることができれば皮疹は改善し2度と起こりませんが、原因が分からないまま湿疹を治すだけでは皮疹は繰り返し誘発され、医療機関への通院は終わりません。

私共の診療科では、日用品、化粧品、職業性、金属など様々な製品や物質による“かぶれ”をパッチテストという検査法によって原因を明らかにします。この検査は専門的な知識や技術がなければ行うことはできません。歯科治療で問題となる金属アレルギーについての検査も実施可能ですので、歯科の先生方のご要望にもお応えすることができます。

パッチテストについては、接触皮膚炎の世界的な研究者である松永佳世子先生の診療で、より詳細な検討を行うことが可能です。

7. スギ花粉に対する免疫療法

花粉症に対しては、スギ花粉抗原による舌下免疫療法を行います。治療は比較的長期(数年単位)に渡りますが、抗ヒスタミン薬の内服ではうまくコントロールできていない方、症状が重篤で学業や就業に影響が出ている方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

今後はダニアレルギー性鼻炎の患者さんに対する舌下免疫療法、ハチ毒の免疫療法など、対象疾患を増やしていく予定です。

8. 慢性蕁麻疹に対するヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤による治療

これまで、気管支喘息だけが対象であったヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤(オマリズマブ)が、平成29年3月より慢性蕁麻疹にも使用できるようになりました。

慢性蕁麻疹に対しステロイド薬や免疫抑制薬などを長期的に使用している方、抗ヒスタミン薬や補助的治療薬が効かずに日常生活や学業・就業に影響がでている方には、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

9. 化粧品皮膚炎や酒さへのアプローチ

顔が火照る、赤くなったら長時間元に戻らない、日光に浴びるとすぐに赤くなってしまう、色々と基礎化粧品や日焼け止めを試してみたが合うものがない、など、顔に皮膚のトラブルを抱えていらっしゃる方は少なくありません。

私共は、症状のコントロールが難しい顔の皮膚トラブルに苦慮されている患者さんに対し、単なる薬物治療だけでなく、スキンケア製品の正しい選択の仕方や使用方法の指導、かぶれが疑われた場合はパッチテストによる原因特定と適切な生活指導を実施し、QOLの高い医療を提供いたします。

また、皮膚常在菌についての研究も行っておりますので、ニキビや、将来的には酒さなど、顔の発赤に苦慮されている方のお役にも立てるよう、新しい治療法の探索を行ってまいります。

教授からのご挨拶

教授&講座責任者
矢上 晶子

矢上 晶子教授

アレルギーに悩める全ての患者さんを受けとめる医療を目指して

現在、国民の2~3人に1人がなんらかのアレルギー疾患に罹患し、今後もアレルギーの患者さんは増えるとされています。また、患者さんの中には、皮膚や呼吸器、眼、鼻、耳など身体の複数の部位に多彩な症状が誘発され、病態が複雑化し、治療が難しい方も少なくありません。そのような時代において、アレルギーに悩める全ての患者さんを受け止める医療を目指し、2017年1月1日、藤田保健衛生大学の第2教育病院である坂文種報德會病院に「総合アレルギー科」は新設されました。

一方、拡大するアレルギー疾患の問題に対応すべく、厚生労働省をはじめ、国家レベルで様々な施策が行われており、国家レベルでも「アレルギー疾患対策基本法(平成26年6月成立/平成27年施行)が制定され、アレルギー疾患に対する医療への期待は大きくなっています。坂文種報德會病院には以前より内科、小児科、皮膚科、眼科、耳鼻科からなる“アレルギーセンター”が稼働していましたが、今回、私共の総合アレルギー科が加わり、平成29年5月1日に“藤田保健衛生大学 総合アレルギーセンター”が新たに開設される運びとなりました。本学総合アレルギーセンター(坂文種報德會病院 堀口高彦センター長)各科の先生方(呼吸器内科、小児科、耳鼻科、眼科、皮膚科)とタッグを組み、原因が確定できず治療に苦慮されている、もしくは診断はついても症状が続いていらっしゃる小児から成人、ご年配に至る幅広い年齢の患者さんに対し、大学病院として、より専門的な検査や治療を行うことを目指して参ります。

他の施設では受けられない高度で専門性の高い医療を

また、多岐に渡るアレルギー疾患の中でも、私共の専門は皮膚アレルギーでございます。これまでアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、食物アレルギー、薬疹、職業性皮膚疾患、さらには化粧品皮膚炎、尋常性ざ瘡(にきび)、酒さ(赤ら顔)などを主なテーマとして診療や研究を行って参りました。そのような中で、特に、ゴム手袋などの天然ゴムラテックス製品によるラテックスアレルギーや茶のしずく石鹸による小麦アレルギーの事例、美白化粧品による脱色素斑など社会的に問題となる事例を多数経験し、疫学調査、抗原解析、治療、社会的な啓発活動など、様々な取り組みを精力的に行って参りました。これからは、これらの経験を基に、さらに精度の高い診断(プリックテスト、パッチテスト、負荷試験)、治療(舌下免疫療法を含む)を行い、総合アレルギー科ならではの専門性の高い診療を行って参ります。

現状のアレルギー診療の一歩先を目指した研究

診療と同時に、新しい検査法や治療法を確立することを目標に、総合アレルギーセンター、アレルギー疾患対策医療学(松永佳世子教授)、他施設の研究者と連携した研究活動も積極的に進めており、また、今後は教育活動にも力を入れて参ります。特に皮膚アレルギーを学びたいと思われる先生がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。当方では、ひとつの診療科では解決できないアレルギー疾患の患者さんへの対応、アレルギーを全身的に診る手法や知識を学び、そして、皮膚アレルギーの専門的な検査や治療、最先端の研究を学ぶことができるような研修プログラムを先生方のご希望に沿いご提供し、アレルギー診療を広く深く学ぶことができるように努めます。

頼れる、そして勧められる診療科を目指して

最後になりますが、当科はまだ開設したばかりです。
地域をはじめ、全国のアレルギーで苦しむ患者さんより「一度、ばんたね病院の総合アレルギー科を受診したい」、そして、先生方より「一度、ばんたね病院の総合アレルギー科への受診を患者さんに勧めたい」と思い、頼っていただけるような診療科になれるよう、 “アレルギーに苦しむ、全ての患者さまのために”をモットーに医局員が一丸となって診療にあたりますので、これから、どうか、よろしくお願い申し上げます。

2017年7月吉日

藤田保健衛生大学医学部総合アレルギー科 教授
藤田保健衛生大学総合アレルギーセンター 副センター長
日本アレルギー学会専門医・指導医
日本皮膚科学会専門医・指導医

署名

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