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個体識別法DISCRIMINATION

個体識別法
:個体識別には、永久識別法と暫定的識別法があります。

 永久識別法には、
  @耳パンチ法
  A入れ墨法
  Bマイクロチップ法
  Cカード(毛色班記録)
  D首輪
 がある。

 暫定識別法には、
  @色素塗布法
  A毛刈法
 がある。

耳パンチ法(永久識別)

:動物の左右の耳に穴または切込みを入れて識別する方法で、マウス、ラット、ハムスター類などに使われる。長時間の識別が可能であり、有色の被毛を有する動物には有効な方法である。
マウス用、ラット用など、穴の大きさが異なる耳パンチを使用する。動物を軽く麻酔し、確実に正しく行うことが大切である。無麻酔科で不確実な識別を行うことは動物に苦痛を与えるばかりでなく、後で読みにくくなり、個体識別を行った意味がなくなる。

             
                   耳パンチ法による個体識別


入れ墨法(永久識別)

:マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル類などに用いられる。尾の長い動物では尾に、ウサギやイヌ(ビーグル)には耳介に入れ墨器を用いて線や数字を入れ墨する。
サル類では前胸部または顔面部を使用する。


マイクロチップ法(永久識別)

:永久的個体識別の1つである。長さ約10mm、直径約2mmの透明な生態適応ガラス製のカプセルの中にコイル、ICチップ、コンデンサーが組み込まれているもので、15桁のID番号をリーダーで読み取る。データベースとの連携も可能である。埋め込みは、挿入する頸背部皮膚周辺を消毒し、滅菌されたインジェクターから皮下に押し出して埋め込む。皮下に埋め込むため痛みはほとんどない。専用のリーダーが必要だが、応用範囲は広い。


カード法(永久識別)

:動物を個別飼育する場合に用いられる。ケージに取り付けたカードに必要事項を記入する方法である。個体番号、生年月日、性別、経歴など、実験目的に応じて必要な項目を書き込める利点がある。マウス、ラットなどでは、耳パンチを併用する。有色モルモットでは、着色部分(三毛色)の配置をカードに記載し、個体識別(毛色班記録)も使われている。


色素塗布法(暫定識別)

:フェルトペン方式の動物用マーカーが各色市販されている。その他ピクリン酸の黄色が汎用され、フクシンの赤色、メチレンブルーの青色も用いられる。
それぞれアルコール溶液を動物の皮膚に塗布し、その位置により個体を識別する。
ピクリン酸以外は脱色が早く、1ヶ月程度しか識別できないが、ピクリン酸の場合は2〜3ヶ月は読める。脱色しそうになったら再度着色しなければならない。
着色に当たっては綿棒などに色素液を含ませ、動物の毛並みに逆らって塗布する。毛並みに沿って塗布すると色素液が流れ、判別しにくくなる。

                   

            

                 色素塗布法による個体識別


毛刈り法(暫定識別)

:短期間の識別法で、7〜10日程度で識別は不可能になる。はさみで被毛を刈ってその位置で識別する方法であり、あまり推奨できないが、黒色や茶褐色の被毛の動物では色素と不が使えないため、この方法を使用する場合がある。