<英語文献紹介>エマヌエル症候群の患者数の推定
 
2014年10月18日土曜日
<英語文献紹介>
 

Prevalence of Emanuel syndrome: Theoretical frequency and surveillance result.
Ohye T, Inagaki H, Kato T, Tsutsumi M, Kurahashi H
Pediatr Int. 2014 Aug;56(4):462-466. 

 t(11;22)(q23;q11)染色体転座はロバートソン転座以外では最も頻度の高い転座です。t(11;22)均衡型転座保因者は通常は無症状ですが、エマヌエル症候群のお子さんの誕生によってわかることがあります。私達は、エマヌエル症候群の罹患率を調べる為に、日本の735の中核病院に第一次調査用紙を送りました。その結果、エマヌエル症候群の方が36名、t(11;22)転座保因者の方が40名みえることがわかりました。一方、健常男性の精子中の新生t(11;22)転座の発生頻度をもとに、一般人口中の転座保因者の人数を計算しました。それにより、エマヌエル症候群の罹患率は1/110000と推定されました。これに基づくと日本での患者の数は1063人、保因者は16604人と計算され、調査から計算される数より、とても高い数となりました。これは、疾患の認知度が低いことが原因の1つである可能性があります。患者や家族のQOLの向上の為に、エマヌエル症候群の認知度を高める努力が必要であると考えられます。