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【目的】散乱放射線の平均光子エネルギーの計測が可能なサーベイメータの精度検証および平均光子エネルギーと実効エネルギーの関係を明らかにした.【方法】Ray Safe 452で平均光子エネルギー、X線スペクトルアナライザでエネルギースペクトル、半導体線量計で実効エネルギーを計測した.X線出力は管電圧50~120 kV及びAl板(0~25 mmAl)とした.X線スペクトルアナライザに対するサーベイメータで測定した平均光子エネルギーの最大誤差を算出した.また,平均光子エネルギー→実効エネルギー換算関数を作成した.【結果・考察】換算関数は線量計のエネルギー換算に用いることで線量測定の制度を向上させることが期待される.

【目的】立位CT装置を利用した検査は室内への散乱線の状況が明らかにされていない。その結果、安全な介助方法についての議論は全く始まっていない。【方法】患者の介助・抑制を行う機会があり、かつ、人体構造と管電流による散乱線の経時的変化が最も大きい躯幹部立位CT検査を評価対象とした。半導体式サーベイメータを用いて床上50 cmから250 cm までを50cm間隔で散乱線を測定し得られた線量率より経時的な空間線量分布を作成した。【結果】介助者の水晶体の高さとして想定される床上150 cmでは常にガントリが遮蔽体となることから最大測定値がおよそ250 µGy/hであった。本研究により経時的な空間線量分布を得ることができた。

【目的】裸眼立体視することができる空間再現ディスプレイが開発された。ディスプレイの初期検討と放射線技師教育においての活用について検討した。【方法】Unityにて開発されたデモ3次元モデルを空間再現ディスプレイに投影し20名の学部生を対象にそれを体験させた後、視認性等のアンケー調査を実施した。一般撮影の整位像の3次元モデルを投影し、教育教材としての有用性等について同様にアンケート調査を実施した。【結果・考察】実際に空間に浮き出てみえる(13名/20名)、酔いや目の疲れなどの不快感がある(7名)との回答があった。一般撮影の整位像モデルについては教科書よりもわかりやすく技師として必要な空間把握能力が向上する(20名)との回答が得られた。

【目的】高精細CT装置を利用して0.5mm以下の穿通枝を描出するための撮影条件の検討をファントムスタディで行った。【方法】頭蓋内模擬血管(内径2.0、1.0、0.8、0.5、0.2mm)を寒天で満たした円筒アクリル内に配置することで自作ファントムを作成した。条件(管電圧、管電流、注入速度など)を変えながら造影中にスキャンを行った。得た画像から最大値投影画像を作成し診療放射線技師3名による視覚評価を行った。定量的評価としてCT値を計測し造影効果を確認した。【結果】0.5mmの穿通枝は描出可能であったが0.2mmは有効な画像が得られなかった。高いCT値を得るためには注入速度を上げ濃度のピークを高くする必要がある。

【目的】スキャノグラフィの被ばく線量評価の指標としてCTDIvol,SPRがCT装置の操作卓に表示されるようになった。CTDIvol,SPRと実際のスキャノグラフィの被ばく線量の妥当性を検討した。【方法】スキャノグラフィの線量をどのように評価すべきかを多角的に評価した。【結果】操作卓に表示されるCTDIvol,SPRはgeometric efficiencyを考慮していないため線量が過小評価される。実測した被ばく線量と比較して操作卓に表示されるCTDIvol,SPRは最小で21.9%、最大で43.9%過小評価していた。また、スキャノグラフィの原理にそぐわない評価指標となっているため、スキャノグラフィにおいてCTDIvol,SPRは管理基準となる線量であり被ばく線量の指標とはなり得ない。

【目的】近年,銀フィルタにより低エネルギー光子を除去することで線量低減を図るXCT装置が臨床稼働している.本研究では胸部XCT検査を対象に臓器吸収線量を推定し銀フィルタの有用性を評価した.【方法】評価は超低線量,低線量,藤田医科大学病院の標準撮影,診断参考レベル 2020を基準とした.銀フィルタ使用時でこの線量と同等画像を得るために必要な管電流時間積を決定するために水ファントムを使用したSD評価を行った.モンテカルロシミュレーションソフトウェア(Impact MC)を用いて,デジタルファントムに対して光子輸送計算を行った.皮膚,肺,乳腺,心臓,胃,肝臓を対象に臓器吸収線量を推定し銀フィルタの有無による線量低減率を評価した.

【背景・目的】20227月の肺がん検診ガイドライン改訂により一部高リスク群に対しての低線量胸部CT検査がグレードAに分類された.本研究では高原子番号金属フィルタ(銀フィルタ)を用いた超低線量胸部CT検査が胸部X線撮影検査と同等の被ばく線量かどうかを評価する.【方法】評価は、胸部正面(検診),胸部正面+側面の入射表面線量,超低線量CT(銀フィルタ有・無)とCTDICT Dose Index)を基準とした.臓器吸収線量(皮膚、肺、乳腺、心臓、胃、肝臓)はモンテカルロシミュレーションソフトウェア(Impact MC)でデジタル人体ファントム(成人の男性と女性)に対して光子輸送を計算することで評価した.

【背景・目的】320列の検出器を備えたX線CT装置は、160mmという広範囲を一度に撮影するボリュームスキャンが可能であるためヒール効果が大きい。しかし、ヒール効果による線量の差によりどれほど画質が変化するのかが明らかにされていない。そこでヒール効果が画質へ与える影響をTTFNPSSNRd’で評価する。【方法】ボリュームスキャンにおけるヒール効果を確認するため半導体線量計を用いて線量分布を得た。画質の評価点はヒール効果によるX線出力の差が最も大きくなる陰極側、陽極側とその中央とした。画質評価用自作ファントムをスキャン後、CT measureを用いてTTFNPSを求め、SNRd’を算出して評価した。

【目的】VRを活用してMRI検査とX線撮影検査を対象とした診療放射線技師教育教材の開発を試みる.【方法】ゲーム開発プラットフォームUnityVR機器VIVEを用いて, ①MRI検査;閉所恐怖症患者に対する模擬体験環境をVR空間で構築した.また,②X線撮影検査;人体CGモデルの整位像を任意の位置から観察可能なVR空間を構築した.【結果及び考察】MRI検査では,実空間の色彩と採光を再現することが課題となった. X線撮影検査の整位像では,VR環境を構築することよりも人体CGモデルに対して整位像を再現することが困難であった.構築したVR空間における多方向からの整位像の観察は学習効果が期待できる.

背景・目的】画像診断X線検査に伴う,介助者に対する被ばく線量の低減は重要な研究課題である.しかし,散乱線の経時的な変化が明らかとされていないため,介助者の被ばく線量がどのような要因・タイミングで増加するかが明確になっていない.本研究では半導体式サーベイメータを用いてXCT検査により生じる散乱線を測定することで,介助者の新しい線量評価指標となり得る経時的な空間線量分布の評価を目的とする.【方法】患者の介助・抑制を行う機会があり,かつ,人体構造と管電流による散乱線の経時的変化が最も大きい躯幹部CT検査を評価対象とした.散乱線の発生機序解明のために管電流一定,管電流変調条件で撮影を行い,RaySafe 452を用いて散乱線を測定した.得られた線量率より,床上100 cm,150 cmにおいて経時的な空間線量分布を作成した.

【背景】2021年4月より水晶体の等価線量限度が引き下げられた。内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査(ERCP)の検査件数が増加傾向にあるため、医師の水晶体等価線量が法基準を超過する可能性がある。【目的】放射線防護具(防護板・防護カーテン・防護クロス)による被ばく線量低減効果を検証する。また、ERCPに従事する医師の年間線量限度を推定する。【結果】nanoDot線量計で測定した水晶体等価線量は防護板で最も低減効果を得た。また、これらの防護具を利用することで年間線量限度を超える可能性は低いことを証明した。【臨床連携】放射線業務従事者に対して注意喚起するとともに対策に必要な情報を提供することができた。

【背景】藤田医科大学病院の透視部門より放射線業務従事者の線量管理を進めたいとの依頼を受けた。【目的】各種X線透視検査に対する空間線量分布を評価し、臨床現場で扱いやすい情報を還元することで診療用放射線に係る安全管理に貢献する。【結果】検査室3部屋に対して仰臥位:注腸検査、PICC、イレウス管、立位:嚥下造影検査、上部消化管造影検査、オーバーテーブルとアンダーテーブルの比較:ERCPとイレウス管などの検査種別ごとの空間線量分布を提供することができた。【臨床連携】提供したデータはJCI等や部内教育等で活用されることとなった。

【背景】先行研究においてOrgan Dose Modulation(ODM)の利用においてX線管のスキャン開始角度はODMの軌道に影響することを1つのスキャン条件下で明らかにした。【目的】ODMの動作特性を明らかにするため、管電流と総線量低減割合の関係、X線管回転時間とODM起動の角度の関係を評価することを目的とする。【結語】ODMはスキャン時間に依存せず約58%の確率でのみ完全に起動することが明らかとなった。【新規性】ODM使用時は操作卓の線量表示値が過小評価となっている可能性が高いことを明らかにした新規性がある。

【背景】一般的なデジタルファントムでは直立型であるため一般撮影を想定したモンテカルロシミュレーションによる被ばく線量評価には不向きである。そのため、先行研究で一般撮影用CGファントムを開発してきたがそれらの作業はとても煩雑であった。【目的】モーションキャプチャー技術を用いることにより簡便にデジタルファントムを開発するための基礎検討をする。【結語】モーションキャプチャーやグラフィック関係の専門ソフトウェアの操作性の敷居がかなり高いことが明らかとなった。【課題】各ソフトウェアの取り扱い方法に関する知識を深める必要がある。

【背景】先行研究としてCGからデジタルファントムを開発してきた。しかし、開発過程において多くのソフトウェアを経由する必要があり作業が煩雑になる課題があった。【目的】デジタルファントムを単一のソフトウェアで開発し、効率化を図る。【結果】Amira proの画像処理モジュールを利用することでCGからデジタルファントムを作成することができた。特に、CT値の付与やDICOM化など多くの時間を必要とした過程が簡略化された。【新規性】CG画像から単一ソフトウェアで簡便にデジタルファントムを作成する方法を提案することができた新規性がある。

【背景】一般撮影検査はアナログ(スクリーン/フィルム)からデジタル(CRやDR)へ受像媒体が変わった。デジタルの利点の1つには撮影後から画像表示までの時間が短いことをあげる。それにともない容易に再撮影ができる環境にもなっている。【目的】デジタルシステム利用時の再撮影率を評価するとともにアナログシステム利用時との比較を行うことを目的とした。【結語】画像の診断能を優先する施設では再撮率が高くなるためローカル診断参考レベルに再撮率の因子を加味したほうが良い。【新規性】撮影項目、体位、領域別の再撮率を評価した新規性やアナログシステムとデジタルシステムで再撮率の変化を比較した新規性がある。

【背景】先行研究にて妊婦の線量から胎児の線量を評価するための変換係数を代表的な1つのエネルギーに対して評価した。しかし、他のエネルギーにおける状況が不明である。【目的】管電圧(エネルギー)の変化による変換係数の違いを検討することを目的とした。【結果】胎児CT検査は30週前後で実施されることが多い。その際、変換係数は全てのエネルギー帯において1.0程度となった。【新規性】妊婦の被ばく線量から胎児の被ばく線量を評価するための変換係数を様々なエネルギー帯で算出した新規性がある。

【背景】先行研究にて妊婦の被ばく線量から胎児の被ばく線量を評価するための補正係数を提案した。しかし、計算過程が煩雑である問題点がある。【目的】必要事項を入力することで胎児の被ばく線量を算出することができるアプリケーションを作成することを目的とした。【方法】実効直径の算出、AAPM report204の変換係数算出、妊婦の被ばく線量算出、妊婦の実効直径と胎児の実効直径から変換係数算出、胎児の被ばく線量算出のプログラムを順次動作可能とした。【新規性】胎児の被ばく線量簡易評価プログラムを構築した新規性がある。

【背景】先行研究にて、OEMを利用時に管電流が変調されないスキャンを確認した。そこで、X線管球のスキャン開始位置がOEMの動作に影響しているのではないかと仮説を立てた。【目的】OEM使用時におけるX線管球のスキャン開始角度と総線量低減割合を評価することを目的とする。【結果】ボリュームスキャンではX線管球のスキャン開始角度によっては、OEMが起動しないことを確認した。そのため、総線量低減割合の変化を期待値で評価した。【新規性】OEMに関するボリュームスキャン特有の動作特性を明らかにした新規性がある。ボリュームスキャンのOEM利用には十分注意が必要である。

【背景】COVID19の影響でWeb講義が余儀なくされた。基礎科目のような座学中心の講義はWeb講義でも問題ないが、実技を伴う臨床科目に関しては座学のみからでは内容を深く理解することが難しい。【目的】臨床的な技術(撮影技術学等)をともなう講義に対して最新のデジタルアプリケーション(MedspaceVRとVIVE Sync)を用いることでWeb講義を対面型講義にどこまで近づけることができるかどうかを試みることを目的とした。【新規性】アバターや3DCGモデルを利用したX線撮影技術学の講義を試みた点において新規性がある。【課題】VR酔いや講義の準備に時間がかかり、教員・学生ともにデバイスの準備に関しても課題が残る。

2020   2018   2017   2016

【背景】OEMは水晶体や乳房などのリスク臓器の被ばく線量を低減する技術である。胎児CT検査は、胎児自身が患者として医療被ばくを被る、一方、妊婦が介助者としての医療被ばくを被る特異性を備えている。従って、どちらの被ばく線量を低減するかで議論が分かれる。【目的】胎児CT検査に対してOEMを利用した場合における被ばく線量の低減効果と画質への影響を評価し、臨床応用が可能かどうかを検討することを目的とした。【結果】妊婦の線量低減を目的にOEMを背面で実施してもさほど妊婦の線量低減に寄与しなかった。【新規性】胎児CT検査に対する被ばく線量低減方法を妊婦および胎児の側面から評価した新規性がある。

【背景】大腸がんの死亡率は高く、その検査には、大腸癌精密検査は内視鏡検査とCT colonographyが行われている。CT colonographyの利点は低侵襲で患者への負担が小さい店をあげることができます。【目的】近年、高精細CT装置が開発されたことをうけて収集モード(NRとSHR)によるⅡa:大腸表面隆起型病変のVE画像の抽出能を比較検討することを目的とした。【方法】腫瘍ファントムは3Dプリンター(PLA樹脂)にて直径5〜20mm∮に対して高さ1,2,4mmHで作成した。【新規性】高精細CT装置を利用したCT colonographyの最適化を実施した新規性がある。

【背景】Subtraction Iodine Mapping(SIM)からCEboost画像を再構成する技術が開発された。この画像は通常造影画像と比較してコントラストが向上するため造影剤の減量とそれにともなう被ばく線量の低減が期待できる。【目的】SIMから得るCEboost画像に対して造影剤量、画質、被ばく線量に関する基礎検討を特注ファントムを用いて評価検討することを目的とした。【方法】特注ファントムは直径20mm∮の同心円状に5〜30mm∮の模擬血管用ロッドを挿入可能な構造とした。【問題点】5mm∮は、内径が5mm以下となり正確にCT値を評価することができなかったため課題である。

【背景】モンテカルロシミュレーションにはデジタルファントムを対象として線量を評価する。しかし、そのデジタルファントムは直立型が一般的であるため、一般撮影領域の線量評価には不向きである問題がある。【目的】3DCGモデルを用いて一般撮影領域専用のデジタルファントムを開発する。開発したデジタルファントムに対してモンテカルロシミュレーションを実施して一般撮影領域における実効線量の推定に応用する。【新規性】一般撮影領域における実効線量を評価可能であり、かつ、デジタルファントムに対する被ばく状況を歯科くん的に把握できる新規性がある。

【背景】看護師は放射線防護に関して知識が不足していることや不安をいだいていることが報告されいてる。診療放射線技師にとって看護師の不安を解消することは責務である。【目的】X線CT検査により生じる散乱放射線からなる空間線量分布を視覚的に捉えることができるVR空間を構築する。【結語】看護師などに対して体験型学習を実施し、放射線に関する理解を深めることで不安解消の一端を担える可能性がある。【課題】体験型学習の実施が1名ずつに限定されることがある。【新規性】放射線の被ばく状況をVR空間で見える化した新規性がある。

【背景】閉所恐怖症患者に対するMRI検査では、検査当日に問診、着替え、金属探知を実施し検査室内でのポジショニングを終えた後、閉所による圧迫感に耐えきれず検査が中止されることがある。【目的】VRを利用してMRI室の環境を構築し、閉所で圧迫感を与えるMRI検査を疑似体験できるシステムを開発することを目的とした。【方法】撮像シーケンスの音はT2WIとDWIの2種類を集音した。VR空間はMRI室内の移動、及び、寝台に仰向きで寝た状態にて寝台が移動するようにプログラムした。【新規性】閉所恐怖症患者に対して事前にMRI検査を体験させることができる新規性がある。

2020   2019   2017   2016

【背景】CTDIは医科用CT装置の線量指標であるため照射領域が限定されることもある歯科用CBCTの線量指標として利用することに対して検討の余地がある。【目的】歯科用CBCTにともなうCTDIがファントム内の平均吸収線量と一致するかどうかを評価することを目的とした。【結果】CTDIと平均吸収線量は近い値となったが最も吸収線量が高くなる位置が様々に異なるため被ばく線量評価に代用することは難しい。特に180度スキャンでは撮像領域よりその周辺の線量が高くなる状況も確認できた。【新規性】歯科用CBCTの被ばく状況をモンテカルロシミュレーションで明らかにした新規性がある。

【背景】多時相CT撮影では同一範囲が複数回撮影される場合がある。一部のX線CT装置ではX線管の撮影開始角度が制御されていないため単純・造影それぞれからなる吸収線量プロファイルが不特定の位置で重なり、吸収線量が高くなる可能性がある。【目的】同位置撮影範囲での多時相CT撮影において、X線管の開始角度による吸収線量の変化を評価し、局所線量を低減させる方法を考案することを目的とする。【新規性】X線管開始角度を固定して撮影開始位置を制御することで局所の最大吸収線量を低減可能であることを示し、確定的影響への対応として効果的である新規性がある。

【背景】40歳以上の女性に対して対策型がん検診としてマンモグラフィ検査が推奨されている。近年、トモシンセシス検査に関する有用性の報告が多く聞かれる中、検診への応用に対する評価の報告はない。【目的】マンモグラフィ検査の正当性を再評価するとともにトモシンセシス検査を検診に導入可能かどうかの検討を損失余命と獲得余命、および、利益リスク比から評価した。【結果】トモシンセシス検査を追加撮影しても利益リスク比はマンモグラフィーのみと同等以上になる学術的根拠を示すことができなかった。【新規性】トモシンセシス検査の検診利用に関して調査した新規性がある。

【背景】X線撮影法を解説する書籍では体位やX線中心線を二次元的に図解しているが、任意の角度のみしか観察できないこと、全身状態を把握できないことなどの問題を指摘してきた。それに対して、研究室ではX線撮影法の3Dモデルを作成した。しかし、皮膚透過像を観察できないことや占用のソフトウェアが必要と言う問題があった。【目的】皮膚透過像を観察可能な3DCGモデルによるX線撮影像の構築と専用ソフトウェアを必要としない3DCGモデルの共有閲覧を提案することを目的とした。【新規性】3DCGモデルを基本的な3DViewerの機能を備えたSketchfabで共有することで整位像を多方面から観察できる新規性がある。

2020   2019   2018   2016

【背景】X線CT装置の半価層測定法にはX線管球を固定しアルミニウム減弱法を行う方法や円筒形のアルミニウム板を利用する方法などがある。近年、半導体線量計は線量値のみならず波形を出力可能である。そこで、それを鉛容器で遮蔽し、上と左右に穴をあけ、厚さの異なるアルミニウム板を付加することで半価層を測定する方法を新たに提案する。【目的】提案する半価層測定法に必要な鉛容器の大きさや厚さをモンテカルロ・シミュレーションで決定することを目的とする。【新規性】従来の半価層測定より少ないスキャン回数で半価層を評価可能となる新規性がある。

【背景】本研究室では、ICRP publication102で報告されたk-factorに対して任意の範囲で評価を行うための方法を提案した。しかし、評価範囲毎にk-factorを算出する煩雑さが問題と成る。【目的】評価範囲を指定することで自動でk-factorを算出可能なソフトウェアを開発することを目的とした。【仕様】任意の範囲のk-factorを評価可能、基礎データはHybridファントム、ファントムは新生児、1歳、5歳、10歳、15歳、成人(標準体型〜重度の肥満体型)とした。【新規性】6領域のみにしか与えられていないk-factorを任意の範囲に対して簡便に評価可能にした新規性がある。

【背景】本研究室では移動型X線発生装置における産卵放射線分布を実空間投影し、可視化することで短時間で効果的な学習ができることを示唆してきた。しかし、垂直方向の散乱線分布を考慮できない問題があった。【目的】垂直方向に産卵放射線分布を投影可能な透過型スクリーンの代用品を模索することを目的とした。【結果】安価なポリエチレンフィルム0.05mm厚等を使用して垂直方向に空間線量分布を投影することができた。しかし、投影角度と視認角度によっては光源を直接観察することとなる問題があった。【新規性】スクリーン前面に人が立つことで散乱放射線の広がりと人体への影響を視覚的に確認できる新規性がある。

【背景】妊娠女性を対象とした胎児CT検査においては、母体となる妊婦の被ばく線量を評価できるが、放射線感受性の高い胎児の評価方法が確立していない問題がある。【目的】胎児線量の状況を明らかにして、その線量の簡易評価方法を確立することを目的とした。【方法】モンテカルロシミュレーション結果をもとにした簡易評価法1:胎児は全身が不均等被ばくと仮定した評価方法、簡易評価法2:胎児は全身が均等被ばくと仮定した評価方法【新規性】胎児の被ばく線量をモンテカルロシミュレーションベースで簡易評価法を提案した新規性がある。

【背景】胎児の被ばく線量をモンテカルロ・シミュレーションを用いて評価可能な簡易評価法を提案した。しかし、モンテカルロシミュレーションを実施するのは煩雑である。AAPMはタスクグループ204にいてAAPMファントム径を任意の径における評価に変換するための補正係数f-factorとその線量指標であるSSDEを提案した。【目的】SSDEの概念を利用し、妊婦の被ばく線量(SSDE)から胎児の被ばく線量を評価するための変換係数を提案することを目的とした。【新規性】操作卓表示のCTDIから妊婦のSSDE、さらには、胎児のSSDEまでも評価可能な補正係数を提案した新規性がある。

【背景】X線撮影法を解説する書籍は、対象部位に着目した正面像や側面像を平面的に描画して体位やX線中心線を図解している。そのため、撮影法を立体的に把握することが困難である。【目的】大学における教育や臨床医現場のマニュアル作成に有用となるような3次元的な整位像を構築することを目的とする。【結果】デッサン用ソフトウェア「Design Doll」を利用することで3次元的な整位像を再現することが可能となった。【新規性】撮影法を任意の方向から観察や拡大表示などが可能となり、複雑な体位の全体像の把握も可能となる新規性がある。

2020   2019   2018   2017

【背景】ICRP publ.102で報告されたDLP−実効線量換算係数(k-factor)は、評価領域が主要6領域に限定されており、さらに、係数を決定する際に用いられたデジタルファントムがStylizedファントムであることから人体形状も劣っている問題がある。【目的】Hybridファントムを用いて任意の評価範囲で利用可能なk-factorを提案することを目的とした。【新規性】k-factorの精度が向上し、さらに、冠動脈CTやデンタルCTなど現在までに与えられていないk-factorを得ることができるようになり利用領域の多様性による利便性の向上をもたらした新規性がある。

【背景】摂食・嚥下障害患者に対する検査は嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査が一般的であるが2次元画像のみで表示される問題や観察時のホワイトアウトの問題がある。本院は320列CT装置の臨床稼働にともないダイナミックスキャンを利用して検査を実施する嚥下CT検査を初めて実施し、現在までに220症例を実施してきた。【目的】嚥下CT検査を実施することを想定して開発されたX線CT装置(Aquilion ONE Genesis)は、従来機よりエネルギーが変更され、再構成法が追加された。そこで、嚥下CT検査の撮影条件を最適化することを目的とした。【新規性】嚥下CT検査の線量と画質の最適化を初めて実施した新規性がある。

【背景】患者の被ばく線量は実測やシミュレーションにより評価することが可能である。代表的なシミュレーションにはモンテカルロ計算を利用したEGSやPHITSが広く知られている。【目的】DICOM画像をもとにX線スペクトルとボウタイフィルタの形状、撮影条件(空気カーマ)を入力することで簡便にモンテカルロ・シミュレーションを実施可能なソフトウェア(Impact MC)を得たため、CTDIに関して実測値と操作卓表示値と比較を行い、その精度を評価することを目的とした。【結語】Impact MCの精度は、実測値や操作卓表示値と比較して10%以下と良好であったため今後の研究活動にも十分利用できることが証明された。

【背景】病棟の患者に対する移動型X線発生装置を利用した画像診断検査は日常的に実施されている。看護師は散乱放射線にさらされることを不安を感じ、このことが精神的な負担となっている。【目的】散乱放射線分布を実空間に投影し、仮想的に放射線の可視化を行うことで放射線教育に時間を費やすことの難しい職種に対する体験型学習の確立を目的とした。【結果】看護学科学生を対象にしたアンケート調査より体験型学習前後において優位な知識の向上を認めた。【新規性】散乱線分布をプロジェクションマッピングし、その状況下で学習することにより、記憶に残り、理解が深まる体験型学習を新たに構築した新規性がある。