【論文】 加瀬義高先生らの論文が発表、プレスリリースされました
加瀬義高、岡野雄士、後藤真楽、岡野栄之らの共同研究グループは、歯周炎による炎症が老化を促進し、各臓器でフレイルが生じてしまうことを明らかにし、論文を発表し、報道されました。
歯周炎は、歯周病が進行した状態を指し、これまで各臓器に悪影響を及ぼすことが報告されていました。しかし、認知機能の低下が口腔内の衛生維持を困難にし、結果として歯周炎を招くのか、あるいは口腔環境の悪化が直接的に認知機能の低下を引き起こすのかについては、明確に解明されていませんでした。また、歯周炎のような軽度の炎症が長期にわたる場合、どの臓器が優先的に影響を受けやすいのかも不明でした。
本研究では、歯周炎モデルマウスを用いて、認知機能の悪化、大腿骨の骨密度低下、遅筋特異的な筋力低下が生じることを明らかにしました。特に骨密度については、歯周炎が軽度で罹患期間が短くても低下が認められ、歯周炎を治療しただけでは回復せず、積極的な骨密度回復のための治療が必要であることが判明しました。
この研究により、歯周炎が各臓器のフレイルを招くエビデンスが得られ、特に高齢者診療においては歯科診療との緊密な連携が重要であることが明らかになりました。
本研究成果は、国際学術ジャーナル「Inflammation and Regeneration」で公開されました。