教室案内

教室員一丸となって
移植医療の発展に貢献出来るよう力を尽くします

移植医療は20世紀の奇跡の医療とされ,種々の疾患で引き起こされる臓器不全を他人の臓器により再生させ,命を救う医療です.教室では,腎臓移植,膵臓移植,膵島移植を行っています.特に膵臓移植は,全国トップの症例数と成績をあげています.すべての移植医療は保険適応となっています.
腎臓移植は末期腎不全の根治療法として,広く行われていますが,日本の症例数は年間2,000例程度(2019年)であり,世界的にはまだまだ少ない数です.また日本では腎臓移植のほとんど(約90%)が健康な親族から提供を受ける生体腎移植です.教室では,生体腎移植において,健康な腎提供者(ドナー)の手術の安全性追求と長期のフォローアップ体制に力を入れています.ドナー手術は技術認定医が執刀し,腹腔鏡を用いた低侵襲手術を採用しており,術後の痛み,創の大きさ,臥床期間を最小限にして,術後5日で退院可能です.またドナーは生涯フォローアップし,腎機能の他,全身チェック,体調管理を行います.腎臓移植を受けるレシピエントには,綿密な手術前検査を行い,安全な手術実施に努めています.

教授 剣持 敬

教授 剣持 敬

膵臓移植は1型糖尿病に対する根治療法で,約80%は1型糖尿病で腎不全を伴った患者さんに対する膵腎同時移植です.脳死になられた患者さんから膵臓と一つの腎臓をいただき,同時に移植します.インスリン注射,血液透析から解放され,低血糖発作がなくなります.また動脈硬化の進行も防ぐため,生命予後の劇的な改善が得られます.教室では現在までに約100例と全国一の症例数で経験豊富であり,安全な移植手術の実施,綿密な移植後管理,外来フォローを実施しています.

膵島移植は脳死または心停止ドナーからいただいた膵臓から,本学国際再生医療センターのCell Processing Center(CPC)無いで無菌的操作で,移植に必要な膵ランゲルハンス島(膵島)のみを精製し,手術ではなく,肝臓(門脈)に穿刺したカテーテルから,点滴で移植するものです.局所麻酔のみで,患者さんの痛みや合併症はほとんどなく,20分から30分で終了する低侵襲治療です.最近成績が格段に向上しており,腎機能の正常な1型糖尿病患者さんにはとても良い治療法です.

上記の移植医療にはわれわれ移植医のみならず,多くの医療関係者が関わります.腎臓内科医,糖尿病内科医,精神科医,感染症専門医,麻酔科医,集中治療医などの医師,歯科医師,看護師,移植コーディネーター,臨床心理士,薬剤師,検査技師,放射線技師など多くの職種がチーム医療を行っています.教室医師と移植コーディネーターを中心とするチーム医療で,移植の相談から,術前検査,手術,術後管理,外来フォローと,患者さんのニーズにお応えするケアを実施しています.病棟は全国的にも珍しい1フロアすべてが移植患者さんに特化した臓器移植センターであり,移植専門の医師,コーディネーター,看護師,薬剤師などが常勤する体制です.

患者さんの診療に加えて,教室では私が日本臨床腎移植学会理事長,日本膵・膵島移植研究会会長,日本移植学会理事,日本組織移植学会理事,日本臓器移植ネットワーク理事を務めているため,全国の腎移植,膵臓移植,膵島移植の管轄も行っており,最新の知識や技術を日々取り入れております.また,大学の教室として研究活動は重要です.教室では,腎臓移植におけるドナー安全性確保のためのダイナミックCTを用いた新たな腎機能評価法,膵臓移植後の血栓証の早期発見,治療,膵臓内分泌機能の評価を目的とする造影超音波の研究を行っています.また,東北大学との共同研究で,最近注目されているMuse細胞とラット膵島の共移植の有効性に関する研究や,名古屋大学との共同研究で,ナノテクノロジーを駆使した移植膵島の可視化の研究などの基礎研究も行っております.

移植医療には,ドナー,ドナーご家族の崇高な意思による臓器・組織提供が不可欠です.現在私は藤田医科大学病院移植医療支援室長として,臓器・組織移植に加えて,臓器・組織提供支援にも力を入れています.教室では,移植を実施する医療者として,臓器・組織提供の支援活動は責務と考え,院内に11名の院内ドナーコーディネーターを設置し,円滑な提供を行っています.また移植医療支援室にはNPO法人あいち臓器提供支援プログラム(AODA)の事務局がおかれ,日本臓器移植ネットワークの臓器提供施設連携体制構築事業に拠点施設として参加するなど,愛知県の臓器・組織提供支援も積極的に行っています.

今後も教室員一丸となって移植医療の発展に貢献出来るよう力を尽くして参りますので,何卒よろしくお願いいたします.

ページトップへ戻る