神経内視鏡手術
Neuroendoscopy

神経内視鏡手術

内視鏡には、硬い筒状のレンズで構成された硬性鏡と、胃カメラや大腸カメラで使われるようなやわらかく曲がる軟性鏡の2種類があり、脳神経外科の領域では、それぞれの特性を生かしながら状況により使い分けて手術を行います。ハイビジョンや4Kの高精細画像に代表される内視鏡の映像システムの発展と専用手術道具の開発により、内視鏡でできる手術がどんどん広がっており、藤田医科大学では低侵襲な内視鏡手術を積極的に導入しています。 内視鏡を使用する最大の目的は脳や周りの組織の損傷を最小限にすることですが、傷を小さくする、手術時間を短くする、入院が短期間になるなどのメリットもあります。
代表的な対象疾患は、
1)髄膜腫(ずいまくしゅ)、脊索腫(せきさくしゅ)、軟骨肉腫(なんこつにくしゅ)などの頭蓋底腫瘍と、下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)、頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ、とうがいいんとうしゅ)、ラトケのう胞などの間脳下垂体疾患は内視鏡手術の得意分野です。
2)水頭症
3)脳実質内腫瘍(グリオーマなど)、脳室内腫瘍、嚢胞性疾患(くも膜嚢胞など)
4)顔面けいれんや三叉神経痛
5)脳出血

1)頭蓋底腫瘍

脊索腫

頭蓋咽頭腫

たいへん大きな腫瘍ですが、内視鏡により全摘出することができた患者さんです。ただし、周囲の重要な血管や神経と強く癒着しているときにはどうしても完全摘出を行うことが難しい場合があります。摘出率にこだわりすぎないで、ガンマナイフなど放射線治療を組み合わせた慎重な治療プランが必要です。

2)脳室内手術

腫瘍により髄液の流れが滞り、髄液が過剰に貯留した閉塞性水頭症に対して、軟性鏡を用いて腫瘍を生検し、第3脳室底という場所の安全な部位を開窓することで髄液の新たな流路を作成しました。

3)脳出血

腫瘍により髄液の流れが滞り、髄液が過剰に貯留した閉塞性水頭症に対して、軟性鏡を用いて腫瘍を生検し、第3脳室底という場所の安全な部位を開窓することで髄液の新たな流路を作成しました。

4)脳実質内腫瘍

頭蓋骨に12mm程度の穴を作成し、9mm細いポートと内視鏡、そして専用の道具を用いて、脳の損傷を最小限に抑え、腫瘍を摘出します。脳内の白質線維を描出し、重要な連絡路を保存しながら手術を行います。

教育

手術シミュレーション技術やトレーニングシステム、解剖セミナーや手術トレーニングセミナーの主催を行なっています。