藤田医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺とは

顔面神経麻痺は、突然顔の半分、あるいは一部分が思うように動かせなくなる病気です。
程度と範囲により様々な症状が出現しますが、よく訴えられる症状は「顔がまがった状態」、「眼が閉じにくい」、「口角が上がらない」、「水や食事が口から漏れる」などがあります。
また顔の麻痺だけではなく味覚障害、涙や唾液の分泌低下、聴力障害などの症状を伴うことがあります。
多くはBell麻痺と呼ばれる原因が分からないものになりますが、潜伏感染したウイルス感染の再活性化によるもの、外傷によるもの、頭蓋内、側頭骨や耳下腺の腫瘍性病変や炎症性病変でも顔面神経麻痺が生じることがあります。
後遺症が残ることもある病気のため、麻痺に対しては早期に原因検索を行い、積極的な治療介入を行うことが重要になります。

顔面神経麻痺イメージ

検査法について

当科では、問診(発症契機、発症時期、随伴症状など)、身体診察(耳介周囲の皮疹の有無、耳下部腫瘤の有無など)を行い、麻痺スコアを用いて重症度評価を行います。また誘発筋電図検査(ENoG)を行い、診断予後を行っております。
原因検索として血液検査(ウイルス抗体価など)、CTやMRIなどの画像精査や、必要に応じて標準純音聴力検査、アブミ骨筋反射検査、味覚検査なども行います。

治療法について

薬物療法
一般的にはステロイドによる加療を行います。患者さんの状況に応じて入院での点滴、外来通院での点滴、内服での加療を提案させていただきます。
リハビリ療法
後遺症を軽減するために早期よりリハビリテーション科と連携し介入を行っいます。リハビリ指導、ストレッチなどを行っていただきます。
補助療法
麻酔科と協力した星状神経節ブロックについても提案させていただきます。
手術療法
当科では重症の患者さんに対して顔面神経減荷術を行っております。側頭骨の中で締めつけられいる腫れた顔面神経を、神経周囲の骨を削ることで圧迫から開放し血流の改善を図り、神経の変性をくいとめます。発症時期、麻痺スコアや誘発筋電図検査(ENoG)の結果などから適応について判断します。 症状改善を目指し全力で治療を行っていきますが、前述をしたように残念ながら麻痺の後遺症が残ることもある病気です。その場合は形成外科と連携した整容改善手術についても提案させていただきます。