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先進診断システム探索寄附研究部門


先進診断システム探索部門
高度薬学情報管理学講座

寄附講座の概要

■目的
服薬アドヒアランスを維持・向上させることは治療の継続、ひいては期待される治療効果に繋がります。服薬アドヒアランスを向上させるために「調剤後の服薬状況」「効果や副作用の発現時期」「薬の味」を実態調査し個々の患者に沿った服薬指導が重要となります。本研究では医薬品適正使用を推進するために薬局において患者からの情報を収集しスコアによる客観的評価を行うことを目的としました。

出資企業:たんぽぽ薬局株式会社、株式会社ファーマアシスト、株式会社クスリのアオキ

■成果
2019年-2024年の5年間で小児患者への薬局のテレホンサポート、ミロガバリン錠の効果・副作用発現の使用実態調査、ミロガバリン錠の理解度調査、エドキサバン口腔内崩壊錠の味評価、抑肝散と服薬ゼリー混和時の味評価、ミロガバリン外用剤の開発、酸化マグネシウム服薬実態調査他を実施することができ、それぞれの結果を数値で評価することに繋げました。今回の研究成果は今後、多くの薬剤で服薬状況を客観的に評価する手法として、地域医療における薬剤師の活動をささえるものになったと考えます。

寄附講座(部門)責任者のコメント

藤田医科大学大学院 医療科学研究科 客員教授
元愛知学院大学 薬学部 教授
山村恵子

今回の研究のうちふたつの成果をご紹介いたします。
①ミロガバリン錠の理解度調査
ミロガバリン錠を新規に処方された患者に対して服薬状況を継続して入手できる薬局薬剤師が、ミロガバリンの適正使用に必用な情報について患者の理解度をスコア化し、正答できなかった項目について丁寧に服薬指導をおこなうことで理解度の変化を評価しました。その結果、1回目の平均理解度スコアは2.14、2回目4.70、3回目5.05、4回目には5.18と1回目に比較して有意(p<0.01)に上昇し、理解度の向上が認められました。(図1)



②抑肝散と服薬ゼリー混和時の味認識測定器による味評価
高齢者においては嚥下機能の低下に伴い、服薬が困難になり、誤嚥のリスクが増加する可能性があります。漢方薬の抑肝散をとろみゼリーに混合して服用する際の味の情報を提供することは服薬継続につながります。そこで、本研究では味認識測定器(TS-5000Z)を用いて抑肝散と5種類の服薬ゼリーおくすり飲めたね(レモン味、いちご味、ぶどう味、ピーチ味、チョコレート味)を混和し、味レーダーチャートを作成しました。味に関してのヒトの官能評価には個人差があり、体調等でも評価は左右されるため、客観的な味評価は服薬ゼリーを患者が選択するうえでの有用な情報になります。本研究により、味認識測定器は味の標準的な「ものさし」として今後、多くの薬剤に応用でき、服薬継続の支援に繋がると考えられました。(図2)