藤田医科大学 整形外科

特集 指導者インタビュー

加藤 慎一 准教授(ばんたね病院)

脊椎疾患に関わる低侵襲治療(椎間板ヘルニア、
脊柱管狭窄症、椎体骨折、変形性脊椎症、脊柱変形など)や、
顕微鏡併用脊椎手術(ヘルニア摘出、椎弓形成、脊椎固定術など)を
を中心に脊椎領域を担当。

整形外科はどのような科ですか

医療機関に来られる方の訴えで上位に位置するのは腰痛や頚部痛であり、特に腰痛の生涯罹患率は80%を超えることなどから整形外科には必然と多くの方が受診されます。近年の高齢化社会により医療費が増大している中で、筋骨格系疾患の医療費は国内だけでなく欧米でも上位3位に入っており、世界的に筋骨格系疾患の治療を必要とされる方が多くなっています。また介護が必要となる健康寿命低下要因では筋骨格系疾患が最多であり、啓蒙活動としてロコモティブシンドロームが提唱されるなど、近年最も注目されている科の一つになります。一言で表現すると機能再建外科ですが、具体的には運動器の外傷や疾病に対しての診断と治療を行います。対象となる方は性別に関係なく幅広い年齢層で該当部位が広範囲であることから、各専門領域(サブスペシャリティ)に分かれて治療を行うことが多く、私はおもに脊椎領域を担当しています。

診療上ご自身の特色は何ですか

整形外科は前述のようにサブスペシャリティに分かれていることが一般的ですが、私自身は脊椎領域以外の治療にも多く携わってきました。その経験から特に下肢関節疾患との病状関連性について検討を行い、治療に反映してきました。例えば、脊椎と下肢関節の両方に疾患がある際にどちらの治療を先に進めるべきか、また時には手術によって得られるメリットだけでなく、制限が生じることなどを分析して優先度を決めています。

どのような治療を行うことが多いですか

加齢によって変性した椎間板軟骨を人工骨に置き換える手術、従来の後方アプローチと近年普及している低侵襲前方アプローチを使い分けて個々に最適な方法を選択しています。
狭窄した脊柱管を拡大する手術の際には顕微鏡下でより振動の少ないエアードリルを使用して、最小限の侵襲になるようにしています。
腰椎椎間板ヘルニアに対する最新の低侵襲治療として軟骨への注射を取り入れており、適応となる方には勧めています。
骨粗鬆症関連骨折の中で最多である椎体骨折に対して骨セメントを使用することで、入院期間の短縮や早期の社会生活復帰を可能にしています。

手術の際に気をつけていることは何ですか

手術法選択の際にはより低侵襲となるように心がけますが、低侵襲手術は治療できる内容が限られていることがあり、低侵襲ありきとならないようにその適応には特に注意しています。また手術室では助手や看護師含めてスタッフ全員で手術に向き合うようにしており、各々が意見を述べて取り入れやすい環境作りに配慮して、信頼関係を築くようにしています。このようなことは後輩医師にも指導しています。私は手術治療成績を向上させる上で、特に合併症問題について取り組んでいます。一例として当院の脊椎脊髄手術では全例にモニタリング機械を使用することで手術中の神経障害予防に配慮しています。その他にも合併症は様々な要因があり、これまでに経験した合併症や過去の事例などを踏まえて、回避する対策と生じた際の適切な対応に重点をおいて、今後の治療をさらに前進させたいと考えています。

ばんたね病院整形外科の特徴は何ですか

初期研修ではおもに救急外来における整形外科疾患、おもに外傷疾患の診断から治療の一連を中心に見識を深めることができます。後期研修では整形外科専門医を早期に取得できるように配慮しており、将来的なサブスペシャリティは各個人の意見を尊重しています。その選択の際には各領域の指導医に直接相談することで、自分にとって最適な方向性を見いだせるようにします。また我々は以前より各個人が整形外科全般の治療に精通することを目標としており、毎朝必ず外来受診された方の検討会を行い、診断と治療を共有して反映するようにしています。各スタッフは専門領域の垣根をこえて互いに協力しているため、大学病院特有のサブスペシャリティごとでの完全分業制になりにくく、研修医師には広範囲により多くの経験を積むことができます。さらに藤田医科大学病院と連携してカンファレンスでの症例検討会などを行い、高度な専門知識の習得が可能となっています。当科では医師一人の寄与する役割は非常に大きく、大変やりがいのある環境になっています。

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