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術後管理CONTROL OF PAIN

術後の疼痛管理
:術後、動物が痛みの症状を示す場合は、下記の鎮痛薬投与が痛み軽減に有効です。

実験動物に用いる鎮痛薬の例


 鎮痛剤 マウス  ラット  作  用
 アスピリン
aspirin
 120mg/Kg
(経口)
 100mg/Kg
(経口)
解熱鎮痛消炎剤
サリチル酸系
プロスタグランジン抑制
 イププロフェン
ibuprofen
 30mg/Kg
(経口)
 15mg/Kg
(経口)
解熱鎮痛消炎剤
プロピオン酸系、非ステロイド、非ピリン系
即効性、プロスタグランジン抑制
 インドメタシン
indomethacin
 1mg/Kg
(経口)
 2mg/Kg
(経口)
鎮痛、麻酔、収れん、消炎
非ステロイド
プロスタグランジン抑制
 ブプレノルフィン
buprenorphine
 0.05-0.1mg/Kg
(皮下注射)
 0.01-0.05mg/Kg
(皮下注射)
オピオイド系、モルヒネより強い鎮痛作用
作用時間長い
鈍痛に効果、術後の鎮痛
                              ラボラトリーアニマルの麻酔、学窓社より引用


痛みと表現


術 位 痛みに伴う行動例
眼・耳 不快感から、こすったり引っかいたりする。耳に痛みがある場合は、頭を傾けたり頭を振ったり、四肢で耳をこすったりする。
断 肢 広範囲に渡る筋肉の外相によって強い痛みがある。
頚 部 強い痛みがあり、頭や首の異常な姿勢をとる。
腹 腔 胸骨側からのアプローチでは強い痛みがある。側方からのアプローチではそれほどの痛みはなく、処置後動物は迅速に動き回り苦痛を感じている様子もない。
腹 部 明らかな痛みはなく、動物は処置後迅速に動き回る。広範囲にわたる手術の場合は、背を外側に弓なりに曲げたり腹部を引っ込めたり、腹部を守ろうとする姿勢で痛みを表現する。


術後管理

:手術が終わってから通常飼育に戻すまでの間、動物を静かで暖かい場所に置く。麻酔剤には体温低下作用があり、手術時の出血によっても体温低下をきたすので小動物では床敷きを多めに入れ、中動物ではタオルか保温マットを用いて動物の保温に気を配る。意識が戻るまでは動物の姿勢をこまめに変えて、血液が下方にたまるのを防ぐ。
意識が戻るにつれ動物は体を動かし始めるので、怪我をしないように給餌器などの突出物は取り除いておく。回復ケージでは1匹ずつ飼育する。窒息を防止する意味で、意識が完全に戻るまで給餌、給水を行わない。麻酔の覚醒確認、体温管理、感染症の防止等に十分注意する。術後に激しい疼痛がある場合は鎮痛薬の投与を行う。