藤田医科大学 国際再生医療センター

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佐藤貴彦講師らの研究成果が学術ジャーナル「eLife」に掲載されました。

 佐藤講師らは 、微小重力環境下で筋萎縮が誘導される際にヒトの筋細胞においてミトコンドリアと小胞体の接合点(MAM)が減少することを明らかにしました。本研究では、ヒト筋細胞およびヒトiPS細胞を用いて、MAM形成に不可欠なMitofusin2(MFN2)遺伝子の機能を解析しました。その結果、ミトコンドリアを含むオルガネラネットワークが破綻した際に、活性型Notchが筋萎縮と関連していることが確認されました。これらの研究成果から、微小重力などが引き起こす様々な筋萎縮に対して、MAMの制御やNotchシグナル経路の抑制が改善効果をもたらす可能性が期待されます。
 今後は今回明らかになった MAM および筋萎縮時の標的分子となる Notch シグナル経路の制御は薬剤の新規治療ターゲットにつながるものと思われます。
 研究チームは、これまで遺伝性筋疾患に対する治療研究に取り組んできましたが、より広汎に引き起こる怪我や加齢による筋萎縮研究にもヒト iPS 細胞含めた筋細胞研究が有効になると考えています。また、筋の恒常性維持や発生・再生に関与する力学と生物学との関係を理解することで、様々な組織の再生を含む他の医学領域の発展に寄与したいと考えています。