脳や脊髄などの中枢神経系は、記憶・学習や運動など多彩な機能を担っています。私たちの研究グループはこれらの高次神経機能を支える神経回路や分子機構に注目し、行動解析と学習機能の回復を目指した研究を進めています。さらに、中枢神経疾患や脳・脊髄損傷による障害に対して、創薬を基盤とした新しい治療法の開発に取り組んでいます。とくに、神経系が本来備えるレジリエンス（回復力）や可塑性を活かして、脳のリザバー機能（予備的な回復能力）を高める治療戦略と創薬開発に取り組んでいます。

武内　恒成 教授

分子細胞生物学を基盤としながら、神経の回路形成のメカニズム解明から脊髄損傷の再生治療および創薬研究に携わってきました。分子から形態と機能までをひろく俯瞰しながら、これまで培った多くの国内・海外の大学や研究機関、加えて企業との幅広い連携を活かしつつ治療につながる研究を目指しています。

服部　聡子 准教授

精神活動の表出としての行動に強い関心を持ち、これまでに多くの精神疾患・神経変性疾患のモデルマウスを用いた行動解析に取り組んできました。今後はこうした行動変化の背景にある物質的・心理的な要因を明らかにし、治療に繋げる研究を進めていきたいと考えています。

笹倉　寛之 研究員

人工シナプス架橋分子の導入や再生環境の制御を通じて、脊髄損傷をはじめとする神経疾患の機能回復に関する研究を進めています。生体に備わる修復能力を最大限に引き出し、その分子機構を解明することで、新たな治療戦略の創出を目指しています。