精神科領域では、客観的な検査方法が確立されておらず、医師の問診による診断が中心であるため、診断がばらつく可能性や、複数の疾患に共通する症状がある場合、診断が難しくなることがあります。また多くの精神疾患において主な治療法である薬物療法においては、薬剤治療反応性や副作用発症に個人差があり、それらは個人の体質や環境の影響を受けることによって生じていると考えられ、予測が難しいという現状があります。本研究部門では、遺伝情報と臨床情報を活用し、診断精度の向上を目指すとともに、個々の患者の薬物治療反応性や副作用を予測可能にするためのゲノム研究を推進してまいります。

齋藤　竹生 准教授

向精神薬による治療の質を低下させる最大の要因である副作用のメカニズム解明とその予測を目指し、薬理ゲノム学の研究に取り組んでまいりました。精神疾患の個別化医療の基盤となるデータを創出するため、遺伝統計解析手法を用いて診断精度向上を目指した患者層別化法の開発に加え、向精神薬の治療反応性や副作用に関する薬理ゲノム学的研究を進めてまいります。