救急整形外傷について
私たち救急科は主に救急での整形外傷を担当し、内科系疾患を担当する救急総合内科と、外科系救急や中毒を担当する災害外傷外科の3科で高度救命救急センターの運営を行っています。
当科は整形外科専門医だけでなく、総合診療を専門とする内科系救急医や診療看護師(nurse practitioner)も同じチーム内に在籍していることが特徴です。
年間約10000台の救急車搬送患者と約20000人のウオークイン患者の対応をする当院ERには、多くの外傷患者も運ばれてきます。整形外科分野では、四肢単独外傷だけでなく、
頭部外傷や体幹部外傷を合併した多発外傷患者、あるいは感染症や電解質異常といった内科的急性期疾患を併発した整形外傷患者も多く、治療の優先順位を迅速に判断し、
かつ迅速に治療してゆくという集学的な治療戦略が必要となります。こういった複数の分野にわたる外傷患者に対する整形外傷治療に当科はとくに力を入れています。
また、年間23万人が受傷する高齢者の大腿骨近位部骨折においては、現在48時間以内の早期手術が患者の予後を改善することが明らかとなっており内科チームを含めた多職種連携チーム医療での対応が国を挙げて推奨されており、
当科でも内科系救急医とともに大腿骨近位部骨折に対する多職種連携チームを構築し対応しております。
さらに当科の最大の特徴は整形外傷手術において最も難易度の高いうちの一つとされる骨盤・寛骨臼骨折治療を得意としているところであります。
現在年間50~60件の骨盤・寛骨臼骨折手術を当科で行っており、これは東海地区でもトップクラスであり、近隣の病院からも多くの手術目的の紹介をいただいております。
骨盤・寛骨臼骨折は受傷時に大量出血にて生命を脅かし得る損傷ですがこれに対しても迅速な血管塞栓術の対応が可能となっております。また近年こうした骨盤・寛骨臼骨折の患者様も高齢症例が増加しており内科的合併症が多い場合もございますがこれに対しても内科系救急医と協力し患者様に最善の治療を提供させていただいております。
救急科 准教授 吉田 昌弘
両側寛骨臼骨折 受傷時レントゲン
両側寛骨臼骨折 術後レントゲン
側寛骨臼骨折3D-CT
骨盤・寛骨臼骨折手術中写真