藤田医科大学 整形外科

治療内容
関節リウマチ

関節リウマチの薬物治療

関節リウマチは体のいろいろな関節が炎症を起こして腫れたり痛んだりする病気です。
30歳から50歳頃の発症することが多く、女性が男性の3倍ほど多く起こりやすいことが知られています。
人差し指から薬指の指先の2番目の関節と指のつけ根の関節(近位指節関節と中手指節関節といいます)や手首、膝関節、足指などが腫れて痛むことから始まることが多く、 朝起きた際にこわばりを多少なりとも感じることがあります。数週間かけて徐々に腫れと痛みが進行し、その数が増えていきます。似た症状を引き起こす病気はほかにも知られていますが、 左右両側に出現していれば関節リウマチの可能性が高いと考えられます。放置すると進行によって関節の軟骨や骨が溶かされて破壊されることにより関節の変形を起こしてしまったり、 疲れやすく、全身のだるさや体力の低下を生じてしまいます。また、関節以外の症状として皮膚のしこり(皮下結節)やリウマチ肺と呼ばれる肺の線維化と胸水の出現を生じるようになってしまうことがありますので、 症状の軽いうちにリウマチ専門医・指導医のいる外来に受診して検査を受けることが大切です。関節リウマチの診断については血液・尿検査や全身の関節のレントゲン写真によるチェックをまず行い、 必要によりMRIや超音波などの特殊検査を追加して確実に関節リウマチであることの診断をつけていくことが重要です。
これまでの医学的調査から、発症した早期の段階からしっかり治療を開始することで病気の進行を抑えることが可能であることがわかってきました。
特にメトトレキサート(リウマトレックス)というお薬は症状の進行を抑制する基本的なお薬(アンカードラッグ)として多く使用されています。
さらに、最近は生物学的製剤 (抗TNFαモノクロナール抗体製剤、同受容体製剤、抗IL-6受容体製剤、抗CTLA4受容体製剤)と呼ばれる注射や点滴のお薬を併用することにより数週間で関節リウマチの症状が消失し(臨床的寛解)、 数年の継続で関節破壊が改善する(構造的寛解)患者さんもでてきています。当科では外来薬物療法センターとの連携により外来通院での各種生物学的製剤(通称バイオ製剤といいます。 当科では現在、インフリキシマブ(レミケード)、エタネルセプト(エンブレル)、アダリムマブ(ヒュミラ)、トシリズマブ(アクテムラ)、アバタセプト(オレンシア)、 ゴリムマブ(シンポニー)、セルトリズマブ・ペゴル(シムジア)、シルクマブ(ケブザラ)の8種類が使用されています。)の治療を行っております。 200名以上の方々がこの治療法を選択されており、治療の継続によってすでに多くの方が臨床症状が消失する寛解状態を獲得され、さらに数名の方が2~3年でバイオフリードラッグフリー(内服および注射治療のいらない状態)寛解に至っており、 元気に日常生活を過ごしておられます。その他、平均寿命の向上により、最近では高齢で発症する関節リウマチの患者さんが目立つようになってきました。高齢者で発症した場合、呼吸器や腎機能その他の合併症の存在により、より安全な治療薬の選択が求められます。 ミゾリビン(ブレディニン)やタクロリムス(プログラフ)、スルファサラゾピリジン(アザルフィジン)、イグラチモド(ケアラム)といった治療薬を中心に、必要に応じて前述の治療薬を組み合わせて治療していきます。
関節リウマチの治療は日進月歩でますます進歩しており治療に対する選択肢も増えておりますが、一方で使用するお薬の副作用、治療の過程で起こりやすい肺炎といった感染症などの合併症を常に注意しておく必要があり、 定期受診ときめ細かな対応がとても大切です。高齢発症の関節リウマチ患者さんは特に合併症対策が重要ですので、必要に応じて他の専門科との併診も行います。また地元の開業医の先生との病診連携も行っておりますので、 いままでの治療でなかなかよくならず、バイオ治療を含めてより良い状態を目指した治療を受けたいとお考えの方は、紹介受診も含めどうぞ当整形外科にご相談ください。

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