藤田医科大学 整形外科

治療内容
骨粗鬆症

骨粗鬆症について

からだの骨の強度が低下して、骨折のリスクが高まる状態にあることを“骨粗鬆症”といいます。 通常、骨の強度は骨密度というものを測定して評価していますが、実は骨の質も重要であることがわかっています。 日本においては現在、骨粗鬆症患者さんが約1100万人程度存在すると推定されており、高齢化社会の到来によりその数はさらに増加することが予想されます。
どのような骨折が増えるの?
 骨粗鬆症でよくみられる骨折は、ころんで股関節のつけ根で折れる大腿骨頚部骨折や、尻もちをついてせなかに激痛が走るのが特徴の胸腰椎圧迫骨折、 そして手をついて手首が折れる橈骨遠位端骨折などですが、骨のぜい弱性がもとで折れやすくなっているので、例えば肋骨や肩、かかとや足の骨にも起こることがあります。
困ったことに、せぼねの骨粗鬆症は慢性的な腰痛の原因であったり、もしくは無症状で背中が曲がってきたりするため、気づかれないまま放置されることが多いのです。
痛みどめやシップであまり効かないといった中高年の腰痛の場合にはこの病気を疑ってみる注意が必要です。
ほかに原因は?
 明らかな男女差があり、女性が男性より約3倍多いといわれています。これには閉経に伴う更年期からの女性ホルモンの低下が関わっているとされ、 60歳ころから急速にせぼねの骨折(椎体骨折)が起こりやすくなります。また、大腿骨頚部骨折は北関東や東北で少なく、関西や四国、九州で多い西高東低であることがわかっており、 それが納豆を食べる習慣の有無によるものであると考えられています。納豆はビタミンKを豊富に含んでいますが、これはいわゆる骨の栄養として骨質を高める役割があるとされています。
その他、日照時間の短い北欧ではカルシウム吸収に必要なビタミンDが作られにくくなり骨が弱くなること、また、若い女性に多い過激なダイエットによる栄養バランスの低下も骨を弱らせてしまうことがわかっています。
一部のおくすり(ステロイドや抗ガン剤など)でも骨がもろくなりますし、高コレステロール状態や糖尿病などのいわゆるメタボリックシンドロームでも骨質が低下して折れやすくなることが指摘されています。
検査は?
 健診では骨密度測定といって、骨の量を測る検査を行います。また診察では血液や尿からカルシウムやリン、I型コラーゲン、骨型アルカリフォスファターゼのほか、 必要に応じてオステオカルシンや副甲状腺のホルモンなどを計測します。また、整形外科では症状の起きやすい骨のレントゲンを撮影して、 無症状であっても骨のかたちや骨の線維(骨梁)の減少を見つけだすことが可能です。当院では最新鋭機器のDiscoveryを用いて腰椎および大腿骨頚部の精密な骨密度測定を実施しています。
治療方法は?
 骨をつくることと壊すことのバランスが乱れること、カルシウムやビタミンなど骨の栄養が少ないこと、骨に関わるホルモン量が低下すること、 運動不足であること、そして年をとること(加齢)などが主な要因ですので、原因に応じた成分の補充や治療のお薬を投与し、また運動を促す指導を行います。
週1回起床時に内服するアレンドロネート(フォサマック)やリセドロネート(ベネット)、 毎日1回内服するミノドロネート(ボノテオ)や、女性で閉経後に朝一回内服するSERM製剤(エビスタ、ビビアント)、 Ca吸収を高める活性型ビタミンD製剤(エディロール、アルファロール)、骨質を改善するビタミンK製剤(グラケー)などがその代表的な内服治療薬です。
お薬については飲み薬だけでなく、腰痛改善効果のあるカルシトニン製剤(エルシトニン皮下注)週1回投与やアレンドロネート(ボナロン点滴静注)の月1回点滴、 PTH製剤(フォルテオ皮下注、テリボン皮下注)などの簡単な注射による治療も開発されており、とても有効な治療方法となっています。
さらに、半年に1回の注射治療投与でフォローできる抗RANKL抗体のデノスマブ(プラリア皮下注)も採用されるに至りました。
当科ではこれらの併用療法により、より良好な治療成績を獲得しております。
まずはどうすれば?
 骨粗鬆症はだれもがなり得る病気です。一方で骨折を起こすまでは自覚症状にとぼしいのも事実です。
 身長が縮んだ、背中が丸くなった、体が重だるいといった変化を感じたら、早めに整形外科を受診してください。
 お近くの健診センターで一次検診を受け、紹介持参で来られる方にも対応いたします。
 また、歯科治療の際に問題となる場合もありますので、ご心配な方はご相談ください。

治療と担当医師のご案内

  • 上肢上肢
  • 膝関節膝関節
  • 股関節股関節
  • 脊椎脊髄脊椎脊髄
  • 骨軟部腫瘍骨軟部腫瘍