藤田医科大学 整形外科

治療内容
PRP療法をご存じですか?

ひじやひざの痛みからの解放

からだの骨の強度が低下して、骨折のリスクが高まる状態にあることを“骨粗鬆症”といいます。
上腕骨外側上顆炎と診断され、サポーターをしたり、注射を打ってもらうものの、なかなか治らない。あるいは、変形性膝関節症と診断され、リハビリをしたり湿布を貼ったり、長年ひざの関節注射を続けているけれど痛みがつらい。
『立ち上がりが痛い、階段が痛い、水がたまる。やりたいことができない。
もう人工関節しかないと言われた。でも、まだ手術はしたくない。』
そんな状況の方に提案することができる治療方法があります。

その一つが自身の血液を使った『再生医療(PRP療法,APS療法)』です。
PRP(ピーアールピー)療法は海外では2000年頃からサッカー選手やメジャーリーガー、プロゴルファーの怪我の治療などに使われており、近年日本においてもその治療法が注目されてきている再生医療の一つです。


図1

PRP(ピーアールピー)療法ってなに?

再生医療と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?iPS細胞や細胞の培養で組織が再生する、そんなイメージがわくかと思います。わたしたちの体は1個の受精卵から始まり、皮膚や骨、心臓など様々な組織や臓器に変化していきます。この変化することを分化といいます。
・これからいろいろな組織や臓器になれる細胞を『幹細胞』:iPS細胞など
・完全に分化した細胞を『体細胞』:血液、脂肪、骨・軟骨など
といいます。


図2

PRP療法は体細胞、特に血液を利用した再生医療となります。
PRPはplate-rich plasma、日本語にすると多血小板血漿です。
けがをした時、傷がふさがりかさぶたができて治っていきますね。傷がなおる過程において、血小板は重要な役割を果たしています。血小板からは傷んだ組織の修復を促進する物質(成長因子)が供給されているのです。PRP療法ではこの組織修復能力を利用し、傷んだ組織の治癒を目指します。

図3:血液を遠心分離することで、
血小板を多く含む成分(多血小板血漿:PRP)を取り出すことができる。

また、APS療法は次世代PRPとも表され、PRPからさらに抗炎症成分(IL-1やTNF-αなどの炎症性サイトカインを阻害する)や修復成分を抽出したものです。
APSはautologous protein solution、日本語にすると自己タンパク質溶液
重油から軽油、ハイオクと生成するような感じでしょうか。


図4

安全性について

PRP療法は自分の血液を使うため、比較的安全性の高い再生医療です。
再生医療は2014年に施行された再生医療等の安全性確保等に関する法律で規制されており、PRP療法は第3種再生医療等に該当します。再生医療を行うには厚生労働省への届け出が義務付けられ、一定基準の安全性の確保が行われています。

デメリット

現在公的保険の対象外で、自由診療となります。
治療法の有効性や安全性が検証されていくことで将来的に保険診療が適応になる可能性もあります。

本学での治療について

藤田医科大学整形外科においてはrobotic surgeryを含めた万全の手術体制に加え、PRP療法、APS療法も積極的に行っていきたいと考えています。手術適応の方の疼痛が軽減され、手術回避できる治療があればそれは患者さんにとって大きなメリットとなるでしょう。現在は自費の診療となりますが、ご興味がある方はぜひ1度受けられてみてはいかがでしょうか。
当院ではPRP療法は110,000円(消費税込み)、APS療法は330,000円(消費税込み)で行っています。
PRP療法についてご不明な点がありましたらお気軽に担当医にご相談ください。

参考:PRP療法・APS療法を行っている大学病院

2021.6.29 時点

引用

図1,2,3,4 : 関節ライフ https://kansetsu-life.comより引用

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