プレスリリース

日本初 国産手術ロボット「hinotori」による仙骨膣固定術に成功

 藤田医科大学病院(愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98)は1124日、国産手術支援ロボット「hinotori™サージカルロボットシステム」(以下「hinotori™」)を用いた日本初の仙骨膣固定術を実施し、無事成功したことをご報告いたします。本件は同システムを利用した女性良性疾患の術式としても世界初となります。これにより当院における「hinotori™」での手術実績は、今年924日に実施した前立腺がん全摘除術に続いて、仙骨膣固定術が2種目となります(いずれも保険適用)。

「hinotori™」を用いた術式と実施件数(2021年9月24日~11月24日)

 

仙骨膣固定術

前立腺がん全摘除術

藤田医科大学病院

1124 1例目実施

14

藤田医科大学岡崎医療センター

     ─

1

 
患者さんは80代の女性で、術後の体調も非常に安定しています。執刀した腎泌尿器外科学の竹中政史講師は、「従来の手術支援ロボットと比較して操作性に遜色なく、ストレスなく手術ができた。出血量も少ないため、患者さんのQOL改善には非常に有効的な手術といえる」と手応えを語り、同じく執刀医の佐々木ひと美教授も「今回のような良性疾患に対しても積極的にロボット支援下手術を導入していきたい」と述べました。
将来的には、hinotori™のデバイス拡充に応じて、腎がんや膀胱がん、胃がん、直腸がん、食道がん、婦人科疾患の患者さんにもhinotori™を用いたロボット手術が提供できるよう、準備を進めてまいります。
 
  • hinotoriによる仙骨膣固定術の様子

  • 執刀医はコックピットから遠隔でhinotoriを操作します

仙骨膣固定術とは

出産や加齢などにより、子宮・膀胱・直腸などの臓器を支える骨盤の底の筋肉が脆弱し、骨盤内臓器が膣内外に下垂する疾患を骨盤臓器脱といいます。仙骨膣固定術は、それら骨盤臓器脱の原因となっている緩んだ骨盤底を、メッシュと呼ばれる網状の医療用人工繊維で持ち上げ、仙骨および膣壁に固定・再建する手術です。
 同術式はメッシュを膣壁に固定する際に繰り返し縫合を行うため、近年主流となっている腹腔鏡下手術では、角度によって縫合に難渋するなどの課題がありました。かつて日本初の腹腔鏡下仙骨膣固定術を成功させた腎泌尿器外科学の白木良一教授(藤田医科大学病院 病院長)も「腹腔鏡下手術は熟練の医師であっても非常に高度な手技が必要」と指摘し、「ロボット支援下手術はそれらを補い、より患者さんの体に負担が少ない安心・安全な手術が可能になる」と述べています。

国産手術支援ロボット「hinotori™」

株式会社メディカロイドが開発した国産初の手術支援ロボットシステムです。手術器具や内視鏡を取り付けた4本のアームが特徴で、医師は患者さんの体から離れたコックピットで内視鏡の立体画像を確認しながら遠隔でアームを操作して手術をします。

藤田医科大学のロボット支援手術

全国に先駆けて手術支援ロボット「da Vinci S Surgical System」を導入した藤田医科大学病院は、ロボット支援手術において国内トップクラスの実績を誇ります。「hinotori™」の実用化に向けての研究開発にも取り組み、2021年1月には「hinotori™」のトレーニングおよび遠隔手術等の研究・実証実験を行うメディカロイド社との共同研究施設「メディカロイド インテリジェンス ラボラトリー 名古屋(略称:MIL-Nagoya)」を学内に開設。臨床現場への導入に向け、操作性改善や機能拡充に向け研究を重ねてまいりした。
本学の「hinotori™」所有台数は現在、MIL-Nagoya1台、藤田医科大学病院1台、藤田医科大学岡崎医療センター1台となっており、MIL-Nagoyaと岡崎医療センターを10Gbpsの専用回線でつないだ遠隔手術の実証実験も2021年5月に実施し、引き続き取り組んでいます。