プレスリリース

藤田医科大学がルワンダ共和国とMOUを締結

協定式に出席した左から本学放射線医学講座の外山宏教授、湯澤由紀夫学長、国際交流推進センターの長崎弘教授

藤田医科大学(愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98 学長:湯澤由紀夫)はSDGsに基づく国際貢献活動の一環として8月12日、ルワンダ共和国保健省(以下 ルワンダ)と核医学検査・治療※の技術支援および医療人材の育成を目的としたMOUを締結しました。本協定の締結により、同国が計画を進めるルワンダがんセンター(PET-CTプロジェクト)の設立を技術的・人的に支援するとともに、それらを通じて同国のがん医療の発展、健康寿命の延伸に寄与することをめざします。

左上/藤田医科大学での協定式の様子 右上/ルワンダのダニエル・ンガミジェ保健大臣 下/今井雅啓ルワンダ大使

同日、今井雅啓駐ルワンダ日本国特命全権大使の立ち合いのもと、協定式がオンラインで行われ、本学からは湯澤由紀夫学長、放射線医学講座の外山宏教授、国際交流推進センターの長崎弘教授、ルワンダ側からは、ダニエル・ンガミジェ保健大臣、ニコル・ジャボ大臣顧問が出席。湯澤学長は「両国の絆を強化するための重要な一歩。ルワンダ国民の健康増進に貢献していきたい」とあいさつし、同大臣も「この調印はルワンダのがん医療における歴史的な幕開けとなるだろう」と期待を述べました。

8月27、28日には、チュニジアで第8回アフリカ国際会議(TICAD)が開催されます。本学は、TICADの意義に賛同し、本協定締結を契機としてルワンダを含むアフリカの発展を引き続き力強く支援していきたいと考えます。

※核医学検査・治療……微量の放射性医薬品を患者さんの体内に注射や服薬で投与し、薬の分布を画像化・数値化することで病気の有無や治療につながる情報を得る検査です。甲状腺疾患やがんの治療も行えます。アイソトープ、RI検査・治療とも呼ばれます。主な核医学検査には、PET-CTやPET-MRI、SPECT-CT、シンチグラフィなどがあり、がんをはじめ、脳、心臓、骨などさまざまな疾患の診断に用いられています。また、最近ではがんの新しい治療薬も開発されています。

協定内容

・両者の科学協力を促進し、医学研究や教育を強化する
・教職員および学生らの異文化間の知識や理解の促進を図り、国際的な経験や技術を拡大する

ルワンダ共和国の医療課題

ルワンダ共和国は、東アフリカに位置する赤道直下の内陸国で、四国の1.5倍ほどの国土に約1,263万人が暮らしています。
ICT産業の発展により著しい経済成長を遂げる一方で、医療資源は不足しており、CTを有する病院が国内に3施設、MRIはキングファイサル病院1施設のみ、がんの早期発見に欠かせないPET-CTを含む核医学施設に至っては一つもありません。加えて、1994年のジェノサイドで医師が国外へ退出した影響が現在も残っており、中堅医師層の空洞化、それに伴う若手医師育成の遅れも社会問題になっています。

疾病構造

同国の疾病構造は、がん、心臓血管病、脳疾患など非感染性疾患(NCDs)の死因割合が44%(2018年、WHO)を占め、中でも心臓血管病に次いで第2位のがんによる死亡は13%、年間約6,000人に及びます。このような背景のもと、ルワンダ政府は2020年に5カ年計画の「がん対策計画」を策定。がんの早期発見体制の構築に取り組んでいます。

今後の展開

協定締結に先立ち、本学放射線医学講座の外山宏教授が今年3月、JICA(国際協力機構)の医療調査活動としてルワンダを訪問。同国には核医学施設がないだけでなく、海外で核医学装置の運用経験を積んだ人材も非常に少ないことを報告しました。
がんの早期発見・死亡率低減を実現するためには、ハード面だけでなく、それを使いこなせる医師や技術者の育成が必要です。本学はルワンダがんセンター(PET-CTプロジェクト)の稼働に向け、同国の医師・技術者・学生による藤田医科大学病院での実地研修、および本学の医師・技術者の現地派遣など、全面的なサポートで同国の医療水準向上に貢献していきたいと考えます。