卵巣癌の中で最も頻度が高い高異型度漿液性癌(HGSC)は、早期発見が難しい上、高い確率で再発し、最終的には治療抵抗性を獲得して致死的となります。特にBRCA1/2遺伝子に変異を持たないBRCA野生型のHGSCでは、化学療法やPARP阻害薬に対する感受性が低く、有効な治療法が確立されていません。そこで本研究では、オルガノイド培養法を用いた難治性卵巣癌のモデルマウスを開発し、BRCA野生型HGSCの分子メカニズムを解析。mTOR経路の異常活性化や化学療法によるストレスが癌細胞におけるp62タンパク質の発現を増加させ、それが治療抵抗性の要因であることを突き止めました。そこでmTOR阻害剤を使用すると、p62の発現が低下し、化学療法の効果が増強されることが確認できました。これらの成果は、難治性卵巣癌に対する新たな治療戦略として、mTOR阻害剤の併用療法の有望性を示しています。さらに、p62をバイオマーカーとして活用することで、個別化医療の発展が期待されます。
研究者
腫瘍医学研究センター
永野修 教授
et al.


