研究グループは、藤田医科大学病院国際医療センターで精密検診した92名を対象に、食事内容、咀嚼嚥下機能、胃酸に影響を与える因子(制酸剤[胃薬]の内服、ヘリコバクターピロリ感染)と、栄養状態を反映するプレアルブミン、アルブミン、ビタミンB12の関連について比較しました。その結果、タンパク質摂取量とビタミンB12摂取量は、血中プレアルブミン濃度・血中ビタミンB12濃度ともそれぞれ正に関連しましたが、制酸剤の内服については血中プレアルブミン濃度のみ負の関連が見られました。原因として制酸剤の服用によって胃でのタンパク質分解および小腸でのアミノ酸吸収が抑制され、肝臓でのタンパク合成が低下した可能性が考えられます。タンパク合成の低下は全身の筋肉量低下(サルコペニア)を引き起こす可能性があり、高齢患者に制酸剤を投与する際には、タンパク合成が低下しないよう、消化の良い食べ物(タンパク質)を選ぶ必要があります。
研究者
藤田医科大学病院 国際医療センター
佐々木ひと美 センター長
医学部 臨床栄養学
飯塚勝美 教授
et al.


