細胞周期の進行には、遺伝子の発現が周期的に調整される必要があり、その過程でスプライシングが重要な役割を果たしています。この制御が破綻すると、細胞周期の不全を引き起こし、ひいてはがんなどの疾患の原因となる可能性があります。しかし、この細胞周期依存的なスプライシングを直接制御するスプライシング制御因子については、これまで明らかにされていませんでした。今回の研究では、スプライシング制御因子RNPS1がPNN、SAP18とPSAP複合体を形成し機能することで、細胞周期依存的に特定の遺伝子(AURKB遺伝子など)のスプライシングを制御する仕組みを解明。さらに、RNPS1のタンパク質発現が細胞周期と連動しており、その能動的な分解がユビキチン-プロテアソーム経路を介して制御されていることも突き止めました。スプライシング異常はがんなどの疾患の原因となり得るため、スプライシング因子やその調節機構は、新たな治療ターゲットとして期待されます。
研究者
腫瘍医学研究センター 遺伝子制御研究部門
福村和宏 講師
et al.


