慢性低ナトリウム血症が中枢神経系の免疫細胞「ミクログリア」の機能に影響を与えることを世界で初めて発見しました。今回の研究では、長期間の低ナトリウム環境下で培養したミクログリアと、低ナトリウム血症モデルマウスを用いて解析を行い、低ナトリウム血症がミクログリアの一酸化窒素(NO)産生を抑制することを発見しました。特に、浸透圧に反応する転写因子「NFAT5」が関与していることが明らかになり、低ナトリウム濃度がこの因子を介してミクログリアの機能を変化させることが示されました。さらに、ナトリウム濃度を急激に上昇させると、ミクログリアが活性化してNO産生が増加し、浸透圧性脱髄症候群(ODS)の発症に関与する可能性が示唆されました。今後、慢性低Na血症による中枢神経機能障害およびODSについて、さらなる機序解明が進むとともに、ミクログリアの機能を標的とした新たな治療法の開発が期待されます。
研究者
医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科学
鈴木敦詞 教授
医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科学
椙村益久 教授
医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科学
藤沢治樹 講師
et al.


