夏の暑い日、頭がぼーっとしたり、体がだるくなったりしたことはありませんか?
それ、もしかしたら熱中症かもしれません。
それ、もしかしたら熱中症かもしれません。
熱中症が起こるメカニズムや症状、予防のヒントを、わかりやすく紹介します。家族みんなで、いっしょに読んで、正しい知識を身につけてくださいね。
熱中症とは?
熱中症は、暑さで体の中のバランスがくずれてしまう状態のこと。重くなると、命にかかわることもある、こわい病気です。
炎天下での活動時だけでなく、屋内にいても発症することがあり、特に高齢者や子ども、持病のある方は重症化のリスクが高く注意が必要です。
そんな熱中症ですが、“正しく知って、正しく行動”することで、しっかり予防することができます。
こんな症状、見逃していませんか?
熱中症の症状は段階によって異なります。

● 軽度(I度)
・めまい、立ちくらみ
・めまい、立ちくらみ
・筋肉のけいれん(足がつるなど)
・大量の汗
→ 処置! 涼しい場所で休み、水分・塩分を補給しましょう。
● 中等度(II度)

・頭痛、吐き気、倦怠感
・集中力の低下、体がだるい
→ 処置! 医療機関への受診を検討しましょう。
● 重度(III度)

・自力で水が飲めない
・意識がない、応答がはっきりしない
・けいれん、高体温(体温が40℃以上)
→ 処置! すぐに救急車を呼び、応急処置(涼しい場所に避難、首・わきの下・足の付け根を冷やす)を行う必要があります。
高齢者に注意してほしいポイント

もともと体力が低下している高齢の方の場合、暑さによって体調を崩しやすく、持病が悪化して合併症を併発するケースも少なくありません。
一方で、暑さによる体調不良から熱中症に似た症状の別の疾患が表に出てくるケースもあります。
このように高齢者の熱中症はとても複雑です。「熱中症以外の疾患を疑う」視点も必要です。
「ちょっと様子がおかしいな」と思ったら、自分で判断せずに早めに医療機関に相談してください。
大切なのは、“暑さの裏にある別のサイン”を見逃さないことです。
小さなお子さんに注意してほしいポイント

子どもは大人に比べて体温が上がりやすく、汗をかく機能も未熟なため、熱中症になりやすいといわれています。
さらに、のどの渇きや体調の変化に自分で気づきにくく、我慢して遊び続けてしまうことも。
「少し元気がない」「やけに不機嫌」「顔が赤い」「動きが鈍い」——
そんな小さなサインに、大人が気づいてあげることがとても大切です。
今すぐできる熱中症対策

熱中症は予防がすべてのカギです。以下の対策を心がけましょう。
- のどが渇く前に、こまめに水分と塩分を補給
- 暑い日は無理な外出や運動を避ける
- エアコンや扇風機を上手に活用(我慢は禁物)
- 通気性のよい服を着用し、日傘や帽子を使う
- 「暑さ指数(WBGT)」や「熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラート」を確認して行動を調整する
とくに高齢者は暑さを感じにくくなっています。周囲の声かけや見守りも大切です。
また、真夏日(最高気温30℃以上)が続く時期は、体に熱がこもりやすく、日中以外にも熱中症リスクが高まります。暑さに“慣れた頃”が、いちばん油断しやすい時期です。
気づかないうちに熱中症にならないよう、毎日少しの心がけを続けましょう。
動画でわかる熱中症対策
救急医監修「熱中症 予防と対処法」を藤田医科大学公式YouTubeで配信しています。
ご家庭や学校、保育所、高齢者 福祉施設など、さまざまな場所で自由にご活用ください。
水分補給TIME
熱中症対策 予防編
熱中症対策 対処編
イベント中の合間時間や休憩タイムに流せる30秒~2分ほどのミニ動画です。
来場者の水分補給を促すのに、ぜひご活用ください。
再生リストはこちら
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よくある質問(Q&A)
Q.水を飲んでいれば熱中症にならない?
A.水分だけでは不十分なことがあります。大量の汗で失われる「塩分」も一緒に補いましょう。
Q.水の代わりにスポーツドリンクや経口補水液を飲んでもいいですか?
A.汗を大量にかいたときや脱水が疑われるときは、スポーツドリンクや経口補水液が効果的です。これらには、失われた塩分(電解質)を補う成分が含まれているためです。
ただし、経口補水液は病人向けの飲み物のため、市販されているスポーツドリンクよりもナトリウムやカリウムが約3~4倍多く含まれています。そのため、日常的に飲んだり熱中症予防として大量に摂取すると、血圧や心臓に負担がかかるおそれがあります。
日常は水やお茶でこまめに水分をとり、汗を多くかいたときや体調に不安を感じたときに、スポーツドリンクや経口補水液を飲むなど、状況に応じて使い分けましょう。
Q.夜間の熱中症とは?
A.熱中症の約4割は夜間に発生しています。睡眠中は水分を補給しないため、脱水症状になりやすく、症状にも気づきにくいことから重症化につながることが少なくありません。寝る前に水分を補給し、寝室の温度を28℃以下、湿度を50~60%に保つなど空調管理にも気をつけましょう。
この記事の監修は…
藤田医科大学 救急医学・総合内科学
岩田充永教授
専門は救急医療、総合内科、高齢者医療。
名古屋市立大学医学部卒。 名古屋市立大学病院、名古屋大学病院、協立総合病院で研修後、2002年名古屋掖済会病院、08年より現職。


