研究課題ピックアップ

GSK3alpha/betaはFOXK2のリン酸化を誘導しHBV転写を促進する

B型肝炎ウイルス (HBV)は日本国民の約1%が感染していると推計されており、新規感染者の10〜20%は慢性肝炎へと移行します。現在の治療法にはPEG-IFNおよび核酸アナログが使用されていますが、どれも一長一短あり、新規抗HBV薬の開発が必要とされています。Glycogen Synthase Kinase3 (GSK3) 阻害剤が強くHBV抗原産生を阻害することは明らかとしたものの、GSK3阻害剤のHBV産生阻害効果の作用機序は明らかではありません。GSK3阻害剤がHBs抗原産生を阻害する分子機構を解明し、そのプロセスを制御するトリガー因子を同定するとともに、その制御機構を標的とした新しいHBV治療法を提案します。

日本における統合失調症を持つ人々の幸福と関連する 身体的、精神的、社会的特徴:横断的研究

近年、患者の主観的評価に注目が集まっています。統合失調症の研究においても幸福などの概念に重点が置かれるようになりましたが、幸福に関連する要因に関する研究は限られています。統合失調症を持つ人々の幸福の特徴を包括的に調査し、コミュニティケアの向上に資する知見を得ることを目的に、横断的研究を行いました。研究では、2022年に実施された、20~75 歳の一般住民(統合失調症を持つ者 223 名、統合失調症を持たない者 1,776 名)を対象としたインターネット調査のデータを利用しました。

Mycobacterium abscessusに対するRifampicinの抗菌作用を増強する薬剤の探索

近年、非結核性抗酸菌(non-tuberculous mycobacteria:NTM)感染症の増加が問題となっています。NTMの中でもM. abscessusは、Rifampicinを含む多くの抗結核薬に自然耐性を示し、NTM感染症の治療におけるキードラッグであるClarithromycinを含むマクロライド系抗菌薬にも誘導耐性を示すため難治性を示します。また、M. abscessus感染症の治療法はほぼ標準化されていますが、M. abscessusを根絶できず寛解後に再発することがしばしば見られ、M. abscessus感染症の治療法の改善が喫緊の課題となっています。そこで、M. abscessusに対して、標準的な抗結核薬であるRifampicinを含むリファマイシン系抗菌薬を増強する薬剤を探索しました。