プレスリリース

炎症性腸疾患に対する 新たな治療法の開発をめざす共同研究を開始

藤田医科大学(愛知県豊明市)の炎症性腸疾患センター(センター長:廣岡芳樹)は、ウェルネオシュガー株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山本貢司)、伊那食品工業株式会社(本社:長野県伊那市、代表取締役社長:塚越 英弘)と連携し、炎症性腸疾患注1)に対するプレバイオティクス注2)を用いた治療法を開発するための共同研究を開始しました。炎症性腸疾患に対する食品を用いた臨床試験は国内ではほとんど行われていません。
本学では消化器内科学講座、医科プレ・プロバイオティクス講座が連携し、多角的な観点から医学とプレバイオティクスに関する研究を行っています。その中で、炎症性腸疾患に対する有効性を示すいくつかの研究データが、ウェルネオシュガー株式会社の持つケストースと、伊那食品工業株式会社の持つアガロオリゴ糖から得られたことから、産学連携で食品成分による炎症性腸疾患の治療・改善に向け研究を開始することとなりました。
本学と両社が連携してプレバイオティクスを活用し、腸内環境改善による炎症性腸疾患に対するQOL向上および治療法の開発をめざします。

炎症性腸疾患は、近年急速に増加している指定難病の消化器系疾患の一つです。腸管の炎症により慢性的な腹痛、血便、下痢などの症状が発生するため、著しいQOLの低下をまねきます。
藤田医科大学病院では、2023年4月に炎症性腸疾患に対する専門的な治療を行う炎症性腸疾患センターを開設。医学的治療と並行して、プレバイオティクスを用いた改善効果を検証しており、近年、良好な予後が報告されています。

注1)炎症性腸疾患:

ヒトの免疫機構が異常をきたし、免疫細胞が自分の腸の細胞を攻撃してしまうことで腸に炎症を起こす病気で、慢性的な下痢や血便、腹痛などの症状を伴います。 主に潰瘍性大腸炎とクローン病の2種類があり、両疾患とも比較的若い方に発症しやすく、日本の患者数は年々増加傾向にあります。

注2)プレバイオティクス:

体に存在する良い効果を発揮する菌を選択的に増やす食品成分。オリゴ糖・食物繊維など。