20代からの「体重履歴」が、その後の血圧推移と関連 —食べる速さ・体重履歴・血圧、3つを「ひとつなぎ」に捉える可能性—
研究グループは先行研究で、20代の食べる速さが、その後の肥満・低体重であった期間の割合、すなわち「体重履歴」と関連することを報告しています。今回の結果と合わせると、食べる速さ、体重履歴、血圧が一連の流れとして関連する可能性が示されました。本研究は、現在の体重だけでなく、若い頃からの「体重履歴」を捉えることが、その後の血圧推移を考えるうえで重要である可能性を示すものです。
本研究成果は、シュプリンガー・ネイチャーの学術誌「BMC Public Health」に掲載され、2026年8月19日にオンライン公開されました。
研究成果のポイント
- 日本の職域健康診断データ406,814人分を解析。20代に肥満歴のある人では、正常体重を維持した人よりその後の血圧上昇が大きく、年齢とともに差が広がりました。
- 肥満であった期間が長いほど血圧上昇は大きく、低体重であった期間が長いほど血圧上昇は小さい傾向がみられました。
- 20代の食べる速さを考慮しても関連はほとんど変わらず、一時点の体重だけでなく、若年期からの「体重履歴」の重要性が示唆されました。
背景
高血圧には遺伝的要因と環境要因が関わり、なかでも体重増加は予防の観点から働きかけることができる重要な要因です。近年は、肥満の程度だけでなく、「どのくらい長く肥満であったか」という持続期間や累積的な影響も、血圧上昇に関係することが報告されています。また、朝食欠食や早食いなどの食行動と高血圧との関連も報告されています。研究グループは先行研究で、20代の食べる速さが、その後の肥満・低体重であった期間の割合、すなわち「体重履歴」と関連することを明らかにしました。そこで本研究では、20代の肥満・低体重歴とその後の血圧推移との関連を調べるとともに、食べる速さの影響や、肥満・低体重であった期間の長さについても分析しました。
研究手法・研究成果
日本の職域健診データ406,814人を対象に、20代のBMIに基づいて「低体重歴あり」「正常体重を維持」「肥満歴あり」の3群に分類し、その後の収縮期・拡張期血圧の推移を男女別に解析しました。睡眠、運動習慣、身体活動量、歩行速度などの影響を統計的に調整し、さらに20代の食べる速さを加えたケースも検討しました。また、観察期間中に低体重または肥満であった期間の割合と血圧との関係も分析しました。20代に肥満歴のある人では、正常体重を維持した人に比べ、その後の血圧上昇が大きく、年齢とともに差が広がりました。一方、低体重歴のある人では血圧上昇が緩やかでした。20代の食べる速さを加えて調整しても、この傾向はほとんど変わりませんでした。さらに、肥満であった期間が長いほど血圧は高く、低体重であった期間が長いほど血圧は低く推移しました。以上から、一時点の体重だけでなく、長期的な体重履歴がその後の血圧推移と関連する可能性が示されました。

図:20代の体重履歴とその後の収縮期血圧との関連
今後の展開
本研究から、20代の体重履歴によってその後の血圧推移が異なり、肥満・低体重であった期間の長さも血圧と関連することが示されました。健康診断や日常診療では、現在の体重だけでなく、過去の肥満・低体重歴を問診で把握することの意義が示唆されます。
また、先行研究と合わせると、20代の食べる速さ、体重履歴、血圧が一連の流れとして関連する可能性があります。若い頃から食べる速さを意識し、適正体重を維持して、特に肥満の持続期間を短くすることが、その後の血圧上昇の抑制につながる可能性があります。
また、先行研究と合わせると、20代の食べる速さ、体重履歴、血圧が一連の流れとして関連する可能性があります。若い頃から食べる速さを意識し、適正体重を維持して、特に肥満の持続期間を短くすることが、その後の血圧上昇の抑制につながる可能性があります。
論文情報
論文タイトル
Body weight history from young adulthood and subsequent blood pressure trajectories in a Japanese employment-based health-check cohort: a retrospective longitudinal study
著 者
飯塚勝美


