宮川教授らの研究グループは、ニューロンに広く発現する細胞骨格タンパク質SEPT3が欠損した雄マウスを用い、複数の標準化された行動試験による網羅的解析を行いました。その結果、マウスは課題や環境に応じて現れる選択的な行動異常を示しました。単一チャンバーでの社会性試験では接触行動や移動距離が増加する一方、3チャンバー試験では異常は認められませんでした。恐怖条件づけ試験では、短期文脈記憶や嫌悪刺激に対する反応が低下するものの、長期記憶や音の記憶は保持されました。また、T字迷路強制交替課題では、空間ワーキングメモリに一部低下が確認されました。基礎的生理状態や運動機能、痛覚には影響はなく、行動異常は状況や課題に依存して顕在化することが明らかとなりました。これらの結果は、SEPT3が脳内で状況に応じた行動や記憶の柔軟な制御に重要な役割を果たしていることを示し、神経・精神疾患の病態理解や将来的な治療標的探索に貢献することが期待されます。
研究者
システム医科学研究部門
宮川剛 教授
et al.


