これまでの研究で、トリプトファン-キヌレニン経路の変容がうつ病に関与することは示唆されていましたが、ストレスがこの経路をどのように変容させ、うつ病に関与するのかは未解明でした。本研究では、慢性ストレス負荷によりうつ病モデルマウスを作製し、行動学的・神経科学的解析を行いました。その結果、慢性ストレスが脳の海馬においてキヌレン酸を増加させ、このキヌレン酸がα7ニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、抑うつ様行動を引き起こすことが分かりました。さらに、キヌレン酸の増加には、ミクログリアの減少と、ストレスホルモンであるコルチコステロンの長期的曝露が関与していることが判明しました。これらの結果は、日々の慢性的なストレスがキヌレン酸を増加させ、それがうつ病の病態に関与していることを示唆しており、α7ニコチン性アセチルコリン受容体が新たな抗うつ薬の開発に役立つ可能性が期待できます。
研究者
医療科学部 レギュラトリーサイエンス分野
長谷川眞也 助教
医療科学部 レギュラトリーサイエンス分野
國澤和生 准教授
医療科学部 レギュラトリーサイエンス分野
毛利彰宏 教授
藤田医科大学
鍋島俊隆 客員教授
et al.


