私だけ生理がこないのはなぜ?
「15歳を過ぎているのに初潮がこない。大丈夫なのかな…?」。
そんな疑問をきっかけに、婦人科の受診で見つかることがあるのが、ロキタンスキー症候群(MRKH症候群)です。この病気は、生まれつき子宮や腟がない、またはわずかに形だけが残っている状態のことで、女性の4,500〜5,000人に1人の割合で見られます。社会的な認知度が低いため、相談できずに一人で悩みを抱えてしまっている人は少なくありません。
本記事では、ロキタンスキー症候群についての正しい基礎知識と、体への負担を考慮したさまざまなケアの方法、現在進められている研究の最新情報などを、分かりやすく解説します。
「15歳を過ぎているのに初潮がこない。大丈夫なのかな…?」。
そんな疑問をきっかけに、婦人科の受診で見つかることがあるのが、ロキタンスキー症候群(MRKH症候群)です。この病気は、生まれつき子宮や腟がない、またはわずかに形だけが残っている状態のことで、女性の4,500〜5,000人に1人の割合で見られます。社会的な認知度が低いため、相談できずに一人で悩みを抱えてしまっている人は少なくありません。
本記事では、ロキタンスキー症候群についての正しい基礎知識と、体への負担を考慮したさまざまなケアの方法、現在進められている研究の最新情報などを、分かりやすく解説します。
ロキタンスキー症候群とは?
ロキタンスキー症候群は、胎児のときの成長の過程で、子宮や腟の発育が緩やかだったために、生まれつきそれらが小さかったり、作られなかったりする先天性の疾患です。
卵巣や卵管の機能に問題はなく、女性ホルモンも正常に分泌され、染色体も女性型であるため、胸のふくらみなど体の成長は周囲と同じように起こります。外見からの違いはなく、「生理がこない」こと以外に不調はないため、15〜16歳頃になって初めて気づくケースが大半です。国内では毎年110〜120人ほどの方が新しく診断されていますが、原因ははっきり分かっていません。

新しく腟を作ることも可能に
近年は医療の進歩により、腟を新しく作ったり、広げたりする技術も確立されてきました。専用の道具を使って時間をかけてゆっくりと腟を広げていく拡張法のほか、大腸の一部を腟として用いるRuge法、人工の皮膚を使ったMcIndoe法などさまざまな手術方法があります。
なかでも、Davydov(ダヴィドフ)法という手術方法は、お腹の中にある骨盤腹膜という薄い膜を腟の入り口の位置まで引き下げて腟の壁として代用する方法で、体に数カ所の小さな穴を空けるだけで手術できるため、傷跡が目立たず、体への負担が少ないため広く行われるようになりました。ただし、いずれの手術も形を保つための定期的なセルフケア(拡張の維持)が必要となります。
これらの治療(手術)は、原則として健康保険が適用され、高額療養費制度などを利用することも可能です。
なかでも、Davydov(ダヴィドフ)法という手術方法は、お腹の中にある骨盤腹膜という薄い膜を腟の入り口の位置まで引き下げて腟の壁として代用する方法で、体に数カ所の小さな穴を空けるだけで手術できるため、傷跡が目立たず、体への負担が少ないため広く行われるようになりました。ただし、いずれの手術も形を保つための定期的なセルフケア(拡張の維持)が必要となります。
これらの治療(手術)は、原則として健康保険が適用され、高額療養費制度などを利用することも可能です。
研究が進む「子宮移植」
卵巣の機能に問題がなければ、自身の卵子を採取することは可能です。しかし日本では、卵子と精子を体外受精させて第三者のお腹に移植し、妊娠・出産へとつなげる「代理母出産」は、日本産科婦人科学会の倫理指針で認められていないため、自身で妊娠・出産ができる医療的な選択肢はありませんでした。
この課題に対し、自身のお腹で赤ちゃんを育てるための選択肢として期待されているのが「子宮移植」です。2026年6月からは、臨床研究に向けたワーキンググループが藤田医科大学に発足し、数年以内の実施をめざした議論がスタートしました。
この課題に対し、自身のお腹で赤ちゃんを育てるための選択肢として期待されているのが「子宮移植」です。2026年6月からは、臨床研究に向けたワーキンググループが藤田医科大学に発足し、数年以内の実施をめざした議論がスタートしました。
「子宮移植」とは、実母や姉妹などの親族から提供された子宮を、ロキタンスキー症候群などの子宮性不妊症の女性に移植し、あらかじめ凍結保存しておいた夫婦の受精卵を定着させることで、妊娠・出産(帝王切開)をめざす医療技術です。出産を終えた後は、免疫抑制剤の服用を止めるために移植した子宮を摘出します。海外では20カ国以上で160例以上の子宮移植がすでに実施されており、80人以上の赤ちゃんが誕生しています。
ご本人・ご家族へ ~受診の目安~
「自分もロキタンスキー症候群かもしれない」と不安を感じている方は、15〜16歳になっても初めての生理がこないことをひとつの目安にしてください。恥ずかしがる必要はまったくありません。まずは、産婦人科を受診し、「生理のことで相談したいのですが」と伝えてみてください。その一歩が、未来の安心を得るための大切なスタートになります。
この記事の監修は…
藤田医科大学 医学部 産婦人科学
木須 伊織(きす いおり)教授
専門は、婦人科腫瘍、鏡視下手術(ロボット支援手術・腹腔鏡)、ロキタンスキー症候群をはじめとする女性生殖器機能再建(先天奇形)、骨盤臓器脱、骨盤解剖学
慶應義塾大学医学部を卒業後、同大産婦人科学教室助教、立川病院などを経て、2025年より現職。
2009年からは専門に加えて子宮移植の研究にも取り組み、霊長類動物(サル)を用いた子宮移植後の出産に世界で初めて成功するなど、同分野の第一人者として知られます。現在は、国内初となる子宮移植の臨床研究に向けたプロジェクトの責任者を務めており、「今後も臨床・教育・研究のすべての面で、社会に貢献できる産婦人科医療を実践していきたい」と話しています。
また、スポーツマンの一面もあり、大学時代はラグビー部で活躍。最近は、医局の後輩たちと始めたフットサルにはまっているとか。「スポーツ観戦も大好きで、深夜や早朝でもテレビの前で夢中になって応援することでリフレッシュしています」と木須教授。旅行も好きで、学会出張で全国を訪れる際には、ご当地の食やお酒、温泉を何よりの楽しみにしているそう。
※本記事は2026年10月19日時点の情報をもとに掲載しています。医療に関する情報は日々更新されるため、必要に応じて医療機関にご相談ください。


