大学院保健学研究科 第99回保健学セミナーのお知らせ

 藤田医科大学大学院 保健学研究科 保健学専攻では、各領域の大学院生が共に集まり、領域横断的に視野を広げ最新のトピックスを学ぶため、各分野の第一線で活躍されている学内外の先生や著名な研究者を講師に招聘した「保健学セミナー」を開催しています。
 今回の第99回保健学セミナーは、リハビリテーション学領域の企画担当で開催いたします。

演題 「ニューロモデュレーションの基礎と臨床応用」
演者
京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻 
先端リハビリテーション科学コース 先端理学療法学講座 教授
山口 智史 先生
日時 2025年12月5日(金)18:00~19:30
場所 大学3号館1階 101講義室

ご講演要旨

 ニューロモデュレーションは、電気的・磁気的・化学的刺激を用いて神経活動を調整し、神経可塑性を誘導する技術である。これまで侵襲的手法が主に研究されてきたが、近年は非侵襲的刺激技術の発展により、安全かつ容易に神経回路を調整する試みが進んでいる。その一つである経皮的脊髄電気刺激(transcutaneous spinal cord stimulation: tSCS)は、皮膚上から脊髄へ電流を印加し、感覚入力を介して脊髄神経回路の活動を変化させる方法である。tSCSは、脊髄だけでなく脳内の興奮性や運動出力の調整にも関与することが報告されており、リハビリテーション領域における新たな介入手段として注目されている。本セミナーでは、ニューロモデュレーションの概念的背景を整理し、tSCSの作用機序と基礎的エビデンスを概説する。さらに、今後の研究課題および臨床応用への展望についても考察する。

  ご講演いただく山口智史先生は現在、神経科学・臨床神経生理学を基盤に、運動障害からの回復を促すニューロリハビリテーション研究を主導しています。
 中枢神経疾患後の運動機能の改善をめざし、非侵襲的刺激法や運動療法を組み合わせた介入の効果検証とその神経生理学的機序の解明に取り組んでおり、理学療法学と神経可塑性研究を融合したアプローチでリハビリテーション科学を牽引されています。
 本セミナーでは、山口先生の主な研究領域の一つであるニューロモデュレーション技術の中から、非侵襲的に神経系の可塑的変化を誘導できる経皮的脊髄電気刺激についてご講演いただきます。基礎的な作用機序からリハビリテーションにおける臨床応用に至るまで、最新の知見と今後の展望をご紹介いただける予定です。一つの研究領域における疑問を深く追求し続けてこられた山口先生の研究姿勢は、リハビリテーション学、看護学を学ぶ大学院生にとって、目指すべき将来像を示すとともに、今後の研究活動の大きな動機付けになると思います。
 大学院生はもとより、学部学生や教職員の皆様で関心のある方のご来場をお待ちしています。 
                                                                                          大学院保健学研究科長 長谷川 みどり
                                                                          お問い合わせ:上原 信太郎(0562-93-9645、suehara@fujita-hu.ac.jp)

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