保健学セミナーのお知らせ

大学院保健学研究科 第98回保健学セミナーのお知らせ

 藤田医科大学大学院 保健学研究科 保健学専攻では、各領域の大学院生が共に集まり、領域横断的に視野を広げ最新のトピックスを学ぶため、各分野の第一線で活躍されている学内外の先生や著名な研究者を講師に招聘した「保健学セミナー」を開催しています。
 今回の第98回保健学セミナーは、看護学領域の企画担当で開催いたします。

演題 「視覚化技術を用いた糖尿病足潰瘍予防の取り組み:国際展開への挑戦」
演者
金沢大学医薬保健研究域保健学系看護科学領域 教授
大江 真琴 先生
日時 2025年5月16日(金)18:00~19:30
場所 大学3号館1階 104講義室
 

ご講演要旨

 糖尿病足潰瘍は重症化すると足切断に至ることがあり、身体予後や生命予後に影響するため予防することが重要です。そして、糖尿病足潰瘍は生活に起因した創傷であることから、予防には患者さんの協力が欠かせません。しかし、神経障害を伴うと、患者さんは痛みを感じることができず、足潰瘍のリスク状態であることの認識が困難となるため、セルフケアへの動機づけが難しいことがあります。
 足潰瘍のリスク状態を患者さんと共有する手段の一つに、炎症による足部皮膚温の上昇をサーモグラフィでとらえ、リスク状態を視覚化する方法があります。私は、大学附属病院の足外来にリサーチナースとして参画し、このような視覚化技術を用いたケアを糖尿病患者さんに提供する機会をいただいてきました。さらに、その技術をインドネシアに提供する機会を得ました。今回は、視覚化技術を用いた糖尿病足潰瘍予防ケアを例に、臨床現場のニーズの抽出、外来プロトコルの構築と評価、海外への実装について、看護研究の国際展開の取り組みを紹介します。

 今回ご講演いただく大江真琴先生は、大学卒業後、臨床、修士取得、大学教員を経て、東京大学大学院博士後期課程へ進学し、2010年3月に博士(保健学)を取得されました。その後、東京大学の教員として着任し、2017年より同大学グローバルナーシングリサーチセンターの特任准教授、2020年から現職でご活躍中です。臨床から一貫して、糖尿病足潰瘍予防に強い関心を寄せ、可視化デバイスを用いた足潰瘍予防の取り組みをライフワークとして研究に取り組んでこられました。
 本セミナーでは、日本で大江先生が開発された糖尿病足潰瘍予防プロトコルの開発とその成果、ならびに生活習慣や宗教、人種が異なるインドネシアにて導入する試みをご講演いただく予定です。看護学、リハビリテーションを学ぶ大学院生にとっては、大江先生のこれまでの研究過程は、研究の国際展開への動機付けになると思います。
 大学院生はもとより、学部学生や教職員の皆様で関心のある方のご来場をお待ちしています。
 
大学院保健学研究科長 長谷川 みどり
 
問い合わせ:須釜 淳子(0562-93-9948、junko.sugama@fujita-hu.ac.jp)