大学院医療科学研究科 第3回医療科学セミナーのお知らせ
藤田医科大学大学院 医療科学研究科 医療科学専攻(修士課程)では、本研究科に所属する大学院生が集い、それぞれが所属する領域の最新トピックスを共に学び、視野を広げることを目的に、各分野の第一線で活躍されている学内外の著名な研究者を講師に招聘し、「医療科学セミナー」を以下のとおり、開催いたします。
演題 | 「脊椎動物の体内時計の制御機構と季節感知機構の解明」 -アカゲザル全身80組織における年間トランスクリプトーム解析- |
演者 |
名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 所長・教授
大学院生命農学研究科 教授
吉村 崇 先生 One Medicine生命-創薬共創プラットフォーム 教授 |
日時 | 2025年5月26日(月)18:00~19:30 |
場所 | 大学3号館1階101講義室 |
ご講演要旨
地球の地軸の傾きと公転により、生物をとりまく環境は季節によって大きく変化しています。繰り返し訪れる環境の季節変化に積極的に適応するために、生物は進化の過程で約1年の内因性のリズムを刻む概年時計を獲得しました。吉村先生は洗練された季節適応能力を持つウズラやメダカなどのユニークな動物にスポットライトをあてることで、動物たちが春を感じて繁殖活動を開始する仕組みを明らかにしてきました。ヒトにおいても心疾患、インフルエンザ、精神疾患など、様々な疾患が冬に重症化することが知られており、死亡率も冬季に上昇します。本講演では、ヒトに近いアカゲザルの全身80組織における季節の遺伝子発現地図の作成から明らかになってきた最新の成果や時間治療についても紹介します。
ご講演いただく吉村崇先生は、名古屋大学 農学部 畜産学科 卒業後、博士前期・後期課程に進学、日本学術振興会 特別研究員、大学教員を経て、1999年3月に博士(農学)を取得されました。その後、名古屋大学の教員として活躍し、2008年より同大学大学 大学院生命農学研究科の教授および生命農学研究科附属鳥類バイオサイエンス研究センター センター長、2013年より世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)として名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 教授、2022年より同拠点長、現職でご活躍中です。学生時代から一貫して、季節による生態変化に強い関心を寄せ、ライフワークとして研究に取り組んでこられています。
本セミナーでは、アカゲザル全身80組織における年間トランスクリプトーム解析をもとに、脊椎動物の体内時計の制御機構と季節感知機構の解明についてご講演いただく予定です。医療科学を学ぶ大学院生にとっては、吉村先生の現在は季節変化に伴う疾患発症に関する取り組みは、新たな研究イノベーションのきっかけになるかと思います。
大学院生はもとより、学部学生や教職員の皆様のご来聴をお待ちしております。
大学院医療科学研究科長 小林 茂樹
問い合わせ:毛利 彰宏(0562-93-9647、mouri@fujita-hu.ac.jp)