お知らせ

世界レベルの設備を備えた「国際再生医療センター」を開設しました

藤田医科大学は、次世代の再生医療研究の一翼を担うべく、世界レベルの設備を整えた研究施設「国際再生医療センター」を開設しました。細胞の培養から加工、投与まで一貫して学内で行える国内の大学では随一の施設として、遺伝子治療や患者さん一人ひとりに合わせた世界初の個別化がん免疫細胞治療(CAR-T治療)の実用化を目指します。

5月30日午前10時から開所式が行われ、本学の星長清隆理事長やセンター長を務める松山晃文教授、国立病院機構名古屋医療センター名誉院長の齋藤英彦名古屋大学名誉教授が挨拶。星長理事長は、「日本のどの大学にもない厳しい国際水準を満たした施設です。来年には海外から研究者らが参入することも想定しており、ここから生まれた細胞や治療法、薬が世界で活用してもらえるよう、研究を進めていきたい」と述べました。開所式のあとには報道関係者や医療関係者に内部を公開し、厳重な管理下で行われる細胞の培地製造の実演を見学してもらいました。
  • 星長理事長らによるテープカットで開所を祝いました

  • 式典で挨拶する松山晃文センター長

午後からは、松山晃文センター長と大倉華雪副センター長による講演会を開催。松山センター長は設立の経緯や今後の展望を解説しつつ、「これまで手術や投薬で治せなかった患者さんに、再生医療・細胞医療という新しい選択肢が広がることで、一人ひとりにふさわしい再生医療を提供したい」と思いを語りました。また、大倉副センター長は、再生医療作業者の仕事の魅力と人材育成における課題などを話し、約100人の来場者らは熱心に聞き入っていました。
  • 講演会の様子

  • 技術者育成の必要性を語る大倉華雪副センター長

国内の大学では唯一の全排気型陰圧室を設置

延べ床面積500平方メートルのセンター内には、無菌状態に管理された陽圧室に加え、空気を漏らさず感染者にも対応できる全排気型陰圧室を設置。全排気型陰圧室を保有するのは国内の大学では本学のみであり、これまで国内企業1社に委託していたウイルスの濃縮作業も実施可能となっています。

患者さん自身の細胞を培養・加工して体内に戻す内科的治療

研究の柱となるのが、組織を再生させる働きを持つ体性幹細胞の活用。これは患者さんの皮下脂肪から採取した体性幹細胞を培養や加工で活性化させて注射・点滴で体内に戻すことで正常な細胞を増やし、本来の機能を回復させるというもので、重度の心不全や肝硬変などの治療等への応用を目指しています。
将来的には、がん細胞のみを攻撃する特殊なリンパ球を患者さんの血液から取り出して培養し、それを体内に戻して治療する個別化がん免疫細胞治療(CAR-T治療)の研究にも着手。血液がんだけでなく、難しいとされる胃がんや大腸がんなどの固形がんへの応用も視野に取り組んでいきます。
  • 内部公開では報道関係者らも白い防護服に身に付け実演を見学しました

  • 細胞の培地作りを実演する研究員