プレスリリース

新規結核治療薬の開発を目的とした国際共同研究プロジェクトが、 グローバルヘルス技術振興基金「GHIT Fund」の 新規投資案件に採択されました

藤田医科大学医学部微生物学講座の港雄介講師が研究代表者を務める国際共同研究グループ(ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院、名古屋大学、北海道大学、ミネソタ大学、結核予防会結核研究所)による研究提案課題「デュアル・エフェクトにより殺菌作用を発揮する新規抗結核薬の標的同定」が、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金「GHIT Fund」の新規投資案件に採択されました。

※グローバルヘルス技術振興基金「GHIT Fund」
日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業などの民間企業、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム、国連開発計画が参画する国際的な官民ファンドです。世界の最貧困層の健康を脅かすマラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症と闘うための新薬開発への投資、ならびにポートフォリオ・マネジメントを行っています。治療薬、ワクチン、診断薬を開発するために、GHIT Fundは日本の製薬企業、大学、研究機関の製品開発への参画と、海外の機関との連携を促進しています。



結核は、年間約1000万人の新規罹患者数と、約140万人の死者数を示す世界三大感染症の一つです。結核は治療可能な感染症ですが、多剤耐性結核菌や超多剤耐性結核菌の出現により、既存の治療法の有効性が危機にさらされています。しかしながら、新規作用機序を有する結核治療薬の開発は滞っており、近年は少数の新薬の臨床試験しか実施されていません。

本国際共同研究プロジェクトは、多剤耐性結核菌や超多剤耐性結核菌に対しても強力な殺菌作用を示す新規作用機序を有する結核治療薬の開発により、結核根絶を目指します。我々の国際共同研究グループは、細菌遺伝学、細菌生理学、ケミカルバイオロジー、医薬品化学、創薬化学の高い専門性を有する専門家によって構成されています。
我々のグループはこれまでの研究から、機能を阻害することで迅速かつ劇的に結核菌の生菌数が減少する結核菌遺伝子Aを同定しました。 そして、遺伝子Aを阻害すると二つの異なる作用により、結核菌が殺菌される事を見出しました(我々はこの現象をデュアル・エフェクトによる殺菌作用と呼んでいます)。我々はさらに研究を進め、遺伝子Aと同様に機能を阻害することでデュアル・エフェクトを示す可能性がある候補遺伝子を多数同定しました。本国際共同研究プロジェクトは、我々が同定したデュアル・エフェクトを示す可能性がある魅力的な候補遺伝子群を、最先端の遺伝子サイレンシング技術であるCRISPR interference (CRISPRi)法を用いて解析します。CRISPRi法を用いることで、約70個の候補遺伝子の解析を短期間で実施することができます。2年間の本プロジェクト終了時までに、結核菌培養実験系および結核菌マウス感染実験系によって候補遺伝子の機能を解析し、候補遺伝子の中から最も創薬標的有望性が高い遺伝子を絞り込み、次の創薬ステージへと繋げます。




研究代表者

港 雄介 藤田医科大学 医学部微生物学講座 講師

共同研究パートナー

Eric Rubin ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院 免疫感染症部門 教授
佐藤 綾人 名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 特任准教授
市川 聡 北海道大学 創薬科学研究教育センター 教授
御手洗 聡 結核予防会結核研究所抗酸菌部 部長
Anthony Baughn ミネソタ大学 准教授
Courtney Aldrich ミネソタ大学 教授