健康・福祉連携
地元レベルでの協働
スギ薬局と連携し災害物資備蓄を開始

本学園とスギ薬局は、地域医療連携における共同研究講座の活動の一環として、2022年 10 月より旧豊明市二村児童館への災害物資備蓄を開始しました。 また、2023 年 2 月からは、大学内およびスギ薬局物流センターで災害物資の備蓄も開始しています。包帯、ガーゼ等の衛生材料やティッシュ、紙コップ等の日用品を中心に備蓄を行い、大規模災害が発生した場合に、地域住民の皆さまを、医療・物資を中心に支えられるよう備えています。
国家レベルでの協働
世界初の「BNCT治療施設」で 膵臓がんに挑戦

本学は、生存率の低い膵臓がんに対する世界初の「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の施設を新設し、2028年から臨床試験を開始予定です。この治療は、ホウ素を含む薬剤を体内に投与し、中性子を照射することでがん細胞だけを破壊する先進的ながん治療法で、健康な細胞への影響が少なく、1回の治療で済むのが特長です。2024年12月には、住友重機械工業、アトランセンファーマ、ステラファーマ、フジタと覚書を締結し、装置開発や薬剤、建屋建設など各社の強みを結集し、深部腫瘍への治療を目指した研究開発を推進します。
世界初のロボット支援小児外科手術に成功
藤田医科大学病院は2024年12月、最新手術支援ロボット「ダビンチSP」では世界初となる、小児外科手術を実施しました。対象は7歳児の先天性胆道拡張症で、小さな体内でも精密操作が可能なダビンチSPの単孔式技術により、開腹手術などと比べ、傷跡が目立ちにくく、痛みや回復期間も大幅に軽減。対象の児童は、術後1週間で無事に退院しました。本大学病院は、2008年にダビンチを国内でいち早く導入し、7,000例以上の実績を持ちます。小児外科の新たな治療選択肢として、今後も安全で体への負担が少ない手術の普及を目指します。
全日本ヘリコプター協議会と災害時の連携協定を締結

2024年11月、本学は、災害時における地域社会の安全と命を守るため、NPO法人全日本ヘリコプター協議会(岐阜県美濃加茂市)と協力し、災害時におけるヘリコプターの出動に関する協定を締結しました。この協定により、災害時に医療物資や生活物資を迅速に被災地へ届ける体制が整い、広域的な防災力を大幅に強化することを目指しています。同協議会は、約30機のヘリコプターを有し、東日本大震災などの大規模災害においても支援活動を行ってきた実績があります。 今回の連携により、災害時に空から迅速な支援を届けることで、災害に強いまちづくりを推進します。
ソーラーパネルの設置

藤田学園は豊明市・中部電力ミライズと連携し、災害時の医療継続に備え太陽光発電設備の整備を進めています。2024年度に教職員駐車場のソーラーカーポート設置Ⅰ期工事を完了し、2025年4月から病院に供給を開始し、災害時の非常用電源としても活用します。7月には豊明市管理の濁池に設置した水上ソーラーパネルが稼働し、最大出力は計2,250kWに。非常用発電機との連携を考慮した、国内医療機関初の試みです。2026年10月以降のソーラーカーポート設置Ⅱ期工事の完了で出力は2,950kWに増加し、既設の非常用発電機とあわせて、大学病院の自家発電時間が従来の3日から約7日へ延長される予定です。最終的に本大学病院が使用する電力の約30%を太陽光発電で賄い、温室効果ガス削減と災害対応を両立します。
井水処理施設の拡充

本学豊明校地では、災害時の給水体制強化のため、防災用井水処理施設の整備を進めています。2023年12月からは職員駐車場内に、2カ所目となる井水処理施設の設置工事を開始しており、2025年6月に完成しました。本施設により、1日最大1,300㎥、年間にして最大約474,500㎥の井水を上水道の代替として利用可能となり、災害時に病院や一時滞在施設への安定した水供給が可能になりました。これにより、基幹災害拠点病院としての機能強化を図るとともに、2026年度には新たな井戸の掘削も視野に入れ、事業継続計画(BCP)のさらなる強化を進めていきます。
医療アウトリーチプログラム
地域への働きかけ
総合アレルギーセンターが「アレルギー実践セミナー」を開催

2024年11月、総合アレルギーセンターは、愛知県アレルギー疾患医療連絡協議会実施事業として「アレルギー実践セミナー」を開催しました。愛知県内の医療従事者や保育士など30名が参加し、アレルギーの専門家による講義と実技指導を通じて、現場で役立つスキルを学びました。セミナーでは、アレルギーの現場で頻出する課題「吸入指導」「スキンケア」「エピペン」に焦点を当てました。総合アレルギーセンターは、地域の子どもたちや住民が安全で健康的な生活を送るための基盤を築くことを目指し、医療従事者や保育士などのスキル向上を支援し続けます。
健康イベント『からだヒアリングDay』で学ぶ健康維持のコツ

2024年11月、本学は「からだヒアリングDay」を開催し、約180名の参加者に健康プログラムを提供しました。午前は親子向け、午後は中高齢者向けに実施し、参加者は、自分の健康状態を測定し、日常生活に取り入れやすい体操や食事法、肌のケア方法などを学ぶことができました。本学主催の特別セミナーでは、教授や医師により、腸内環境の改善やアレルギー予防について専門的な講義が行われ、実践的な知識を提供しました。今後も地域の皆さまに健康に関するさまざまな情報を提供し、予防医療への理解を深めていく機会を創出していきます。
市民向けの健康教室を開催

本学は名古屋市と共催で市民向けの健康教室を、2024年度に同市港区荒子川公園と緑区みどりが丘公園で計4回開催しました。来場者を対象に健康チェックやポールウォーキング体験会などを実施しました。2024年度は新たな取り組みとして、コメダ珈琲店 有松店とコラボレーションし、「出張健康セミナー in コメダ珈琲店」 を開催。参加者は、コーヒーを楽しみながら、「認知症と生活の関わり」や 「安全に飲食を続けるための嚥下体操」 を学びました。
自治体及び産業界と協力して健康イベントを開催
本学は、地域の活性化や健康啓発を目的として、自治体や企業が主催する5つのイベントにブースを出展しました。延べ2,000名以上の方にご来場いただき高齢者向けに健康チェック(血圧・握力・血中酸素飽和度測定)や立ち上がりテストを実施。子ども向けにも医療職体験プログラムなどを用意しました。
年間188件の出張講義を実施
本学の教職員が教育機関・自治体に出向いて、医療や健康に関する様々なテーマで出張講義を行っています。2024年度は食物アレルギーによるアナフィラキシー対応講習や心肺蘇生・子どもの怪我防止、防災、災害対応などのテーマで188件の講義を実施し、一般市民の方から専門職の方まで幅広く受講いただきました。
支援が必要な人々への働きかけ
留学生への奨学金支援
本学 国際交流センターでは、国際学生や研究者を支援する奨学金制度を複数運用しています。たとえば Fujita Academy Grantは返済不要の奨学金で、学業の開始・継続が困難な経済的困難を抱えている留学生を対象に提供しています。さらに大学院所属の留学生向けのGlobal Education and Research Grantでは、教員が国際研究プロジェクトで彼らを研究補助者として採用する場合、月額50,000円を支給しています。また、日本政府および公的機関の奨学金制度の情報も案内しています。


