医療科学部 研究推進ユニット
免疫医科学分野

ニュース&トピックス

  • 2022年4月1日
  • 放射線学科の4年生がメンバーに加わりました。

  • 2021年6月14日
  • 臨床検査学科の4年生7人がメンバーに加わりました。

  • 2021年4月1日
  • 放射線学科の4年生2人がメンバーに加わりました。

  • 2021年4月1日
  • Nurşah Ertunç 助教が着任しました。

分野紹介

本分野は研究推進ユニットとして、医療科学部の2学科(臨床/医療検査学科・放射線学科)双方から学生を受け入れており、学科の垣根を超えて研究活動を行なっています。生化学・分子生物学・細胞生物学・免疫学など多岐にわたる手法を用いた研究を通じて、臨床検査技師・診療放射線技師としての仕事に限らず、幅広く活躍するために研究マインドを備える人材の育成を目指しています。大学院では、研究者の育成を目標として、主体的に研究を行えるよう指導を行います。

メンバー

教員

医療検査学科

放射線学科

研究生

湯浅 大史

大学院生

(修士課程)猪鹿倉 幹、佐藤 大智

学部生

(臨床検査学科)未定
(放射線学科)金原 未果

研究内容

・糖鎖による生体制御機構に関する研究

私たちの細胞の表面は糖鎖で覆われています。これらの糖鎖の構造は細胞の種類や状態によって異なり、細胞の「顔」とも言われています。糖鎖は、その構造を特異的に認識し、結合する分子(レクチン)と相互作用することにより、様々な生理機能を担っています。

1. シアル酸分子種の生物学的機能に関する研究

Sialoglycans

細胞表面を覆う糖鎖の末端の多くは、シアル酸と呼ばれる酸性の糖で占められています。シアル酸は、マイナスのチャージをもつという性質に加え、細胞の一番外側に存在すること、様々な分子修飾を受け構造多様性に富むことから、細胞の分子認識に様々な形で関わっています。私たちは、このシアル酸分子を介した分子認識の機能的な意義を、主に免疫系において解析しています。

Structure of sialic acids

また、シアル酸はヒトとその他の動物を分ける違いでもあります。ヒトは哺乳動物における主要シアル酸分子種であるNeu5Gcの生合成を担うCMP-Neu5Ac水酸化酵素を欠失しており、Neu5Gcを作ることができません。つまり、Neu5Gcはヒト免疫系から考えると異種性の非自己抗原となりますが、実際には食事から取り込まれ自己抗原として後天的に発現するという他に類をみない「異種自己抗原」であり、しかもNeu5Gcが抗原性をもつことで慢性の自己応答性抗原となることが報告されています。私たちは、ヒトでのみ特異的に起こる異種自己抗原Neu5Gcに対する免疫応答機構を明らかにするとともに、これがヒトの慢性炎症性疾患に対し及ぼす影響を、Neu5Gc欠損マウスを用いて研究しています。この異種自己抗原応答を人為的にコントロールすることで、現在も改良が求められている、よりヒトの状態を模倣した疾患モデルマウスを構築できると考えています。

2. 胚中心マーカー糖鎖の生理的機能に関する研究

Germinalcenter

マウスのリンパ球は、通常Neu5Gcを主要なシアル酸として発現しています。私たちは、抗原からの刺激によりB細胞を活性化することでNeu5Gcの発現が抑制されること、このNeu5Gcの抑制はCD22と呼ばれるB細胞活性化抑制能をもつ分子のリガンド(標的分子)の発現を低下させることを明らかにしました。また、B細胞は抗原刺激に応答して抗体を産生しますが、このための活性化の場である胚中心を特異的に染色する単クローン抗体GL7が、活性化リンパ球(T細胞でもこの反応は起こる)特異的なNeu5Acの発現(=Neu5Gcの減少)を認識していることを明らかにしました。
GL7以外にも糖鎖を認識する抗体やレクチンが胚中心を検出するマーカーとして用いられてきました。つまり胚中心は糖鎖の構造が劇的に変化する場なのです。私たちは、これらの糖鎖発現の変化が機能的にどのような意義を持つのか、糖鎖改変細胞等を用いて解析を行なっています。

・スフィンゴ脂質が関与するシグナル伝達機構に関する研究

細胞膜構成成分の一つであるスフィンゴ脂質には、多様な分子種が存在し、それらが様々な生理機能を持つことが明らかになってきました。当研究室では、スフィンゴ脂質が関与するシグナル伝達機構について、研究を進めています。

1. プロテインキナーゼの新規分解メカニズムに関する研究

Ypk1 degradation

冬虫夏草の一種であるタイワンツクツクホウシを宿主とするIsalia sinclairii菌から強い免疫抑制活性を持つ物質として単離されたISP-1 (immunosuppressant product-1) は、その構造がスフィンゴシンに類似しており、スフィンゴ脂質の生合成を阻害することが明らかにされました。私たちは、このISP-1を用いた遺伝子スクリーニングにより、酵母においてISP-1耐性遺伝子の一つとしてYPK1を単離し、スフィンゴ脂質シグナル伝達と呼ぶべきシグナル伝達経路の存在を明らかにしてきました。その中で、タンパク質を翻訳することで、細胞増殖を制御するAGCキナーゼであるYpk1が、栄養源の一つである窒素源の飢餓時に、バルクのオートファジーに先立ち、一部オートファジー経路を利用して選択的に分解されることが明らかになりました。アミノ酸飢餓時にアミノ酸の消費を積極的に抑制して節約する、ともとれる、私たちが発見したこの経路はこれまで知られていない新規の経路であり、その分子メカニズムを明らかにしようとしています。

2. エンドマイトーシス制御機構に関する研究

Endomitosis

アシル鎖を1本のみもつリゾ型スフィンゴ脂質は、2本のアシル鎖をもつ通常のセラミド型スフィンゴ脂質とは異なる物性を膜に与えるだけでなく、これら自身が様々な生理活性を有しています。私たちはこれまでに、リゾ型で極性頭部にガラクトースを持つ生体内糖脂質であるサイコシンが、細胞質分裂を特異的に阻害することで細胞の多倍体化、巨大化を誘導することを明らかにしてきました。細胞分裂の最終段階である細胞質分裂をスキップして細胞周期が回っていく「エンドマイトーシス」という現象は、生体内では血小板の前駆体細胞である巨核球の産生などの際に生じます。私たちは、サイコシンの標的作用機序の解明を介して、巨大細胞を産み出すエンドマイトーシスの分子機構を理解するべく研究を進めています。

年間行事

研究室セミナー

セミナーの様子

研究室のメンバー全員が集まり、研究報告および文献紹介を行うセミナーを週に1回行っています。
研究報告では、教員および大学院生が研究の進捗状況を報告し、結果や今後の方針について議論します。文献紹介では、その日の担当者が国内外の他の研究室から発表された論文を紹介し、最新の知見について勉強します。

学会発表

生化学会、糖質学会、脂質生化学会をはじめとする学会において、教員および大学院生が研究成果を発表しています。

研究以外の交流

現在はCOVID-19の影響により研究以外の場面で交流をはかることは難しいですが、例年は、新歓や院試お疲れ様会、忘年会、送別会など節目ごとに飲み会を行い、交流を深めています。研究室が藤田医科大学に移る前は、研究室旅行にも行っていました。COVID-19が落ち着けば、また色々なイベントを企画したいと思います。

フォトギャラリー

  • 2020卒業祝い

  • 2021卒業式 (1)

  • 2021卒業式(2)

  • 2022卒業式(1)

  • 2022卒業式(2)

学術業績

原著論文

2021

  • Yang S, Gigout S, Molinaro A, Naito-Matsui Y, Hilton S, Foscarin S, Nieuwenhuis B, Tan CL, Verhaagen J, Pizzorusso T, Saksida LM, Bussey TM, Kitagawa H, Kwok JCF, Fawcett JW. Chondroitin 6-sulphate is required for neuroplasticity and memory in ageing. Mol Psychiatry. 2021 Oct;26(10):5658-5668.
  • Alborzian Deh Sheikh A, Akatsu C, Abdu-Allah HHM, Suganuma Y, Imamura A, Ando H, Takematsu H, Ishida H, Tsubata T. The Protein Tyrosine Phosphatase SHP-1 (PTPN6) but Not CD45 (PTPRC) Is Essential for the Ligand-Mediated Regulation of CD22 in BCR-Ligated B Cells. J Immunol. 2021 Jun 1;206(11):2544-2551.
  • Spruit CM, Nemanichvili N, Okamatsu M, Takematsu H, Boons GJ, de Vries RP. N-Glycolylneuraminic Acid in Animal Models for Human Influenza A Virus. Viruses. 2021 May 1;13(5):815.
  • Alborzian Deh Sheikh A, Gomaa S, Li X, Routledge M, Saigoh K, Numoto N, Angata T, Hitomi Y, Takematsu H, Tsuiji M, Ito N, Kusunoki S, Tsubata T. A Guillain-Barré syndrome-associated SIGLEC10 rare variant impairs its recognition of gangliosides. J Autoimmun. 2021 Jan;116:102571.

2020

  • Ertunc N, Sato C, Kitajima K. Sialic acid sulfation is induced by the antibiotic treatment in mammalian cells. Biosci Biotechnol Biochem. 2020 Nov;84(11):2311-2318.
  • Morise J, Yamamoto S, Midorikawa R, Takamiya K, Nonaka M, Takematsu H, Oka S. Distinct Cell Surface Expression Patterns of N-Glycosylation Site Mutants of AMPA-Type Glutamate Receptor under the Homo-Oligomeric Expression Conditions. Int J Mol Sci. 2020 Jul 19;21(14):5101

2019

  • Morise J, Suzuki KGN, Kitagawa A, Wakazono Y, Takamiya K, Tsunoyama TA, Nemoto YL, Takematsu H, Kusumi A, Oka S. AMPA receptors in the synapse turnover by monomer diffusion. Nat Commun. 2019 Nov 20;10(1):5245. Kiuchi Z, Nishibori Y, Kutsuna S, Kotani M, Hada I, Kimura T, Fukutomi T, Fukuhara D, Ito-Nitta N, Kudo A, Takata T, Ishigaki Y, Tomosugi N, Tanaka H, Matsushima S, Ogasawara S, Hirayama Y, Takematsu H, Yan K. GLCCI1 is a novel protector against glucocorticoid-induced apoptosis in T cells. FASEB J. 2019 Jun;33(6):7387-7402.
  • Nakamura A, Morise J, Yabuno-Nakagawa K, Hashimoto Y, Takematsu H, Oka S. Site-specific HNK-1 epitope on alternatively spliced fibronectin type-III repeats in tenascin-C promotes neurite outgrowth of hippocampal neurons through contactin-1. PLoS One. 2019 Jan 10;14(1):e0210193.

学会報告

2021

  • 湯浅大史、濱野久美子、関亮佑、岡昌吾、内藤裕子、竹松弘「ヒト胚中心B細胞マーカーであるスフィンゴ脂質CD77はCD19のN型糖鎖付加を亢進させると共にB細胞抗原受容体シグナル伝達を抑制する」第63回 日本脂質生化学会(6月 口頭発表)
  • 湯浅大史、濱野久美子、関亮佑、岡昌吾、Nurşah Ertunç、内藤裕子、竹松弘「ヒト胚中心B細胞マーカーCD77はB細胞抗原受容体シグナル伝達を抑制する」第85回 日本生化学会中部支部例会(5月 口頭発表)
  • 湯浅大史、濱野久美子、関亮祐、内藤裕子、岡昌吾、竹松弘「スフィンゴ糖脂質CD77によるB細胞抗原受容体シグナル伝達の制御機構の解析」糖鎖科学中部拠点 第16回「若手の力」フォーラム(1月 口頭発表)

2020

  • Nurşah Ertunç、佐藤ちひろ、北島健「哺乳類細胞表面シアル酸の硫酸化は抗生物質G418によって発現誘導される」第39回 日本糖質学会年会(11月 誌上発表)

2019

  • 植野汐里、佐藤亜純、岡昌吾、内藤裕子、竹松弘「窒素源飢餓時におけるプロテインキナーゼの選択的オートファジー分解の基質」第92回 日本生化学会大会(9月 口頭発表およびポスター発表)
  • 湯浅大史、濱野久美子、関亮祐、岡昌吾、内藤裕子、竹松弘「スフィンゴ糖脂質CD77によるB細胞抗原受容体シグナル伝達制御機構の解析」第38回 日本糖質学会年会(8月 口頭発表)
  • 浅野光、濱野久美子、岡昌吾、内藤裕子、竹松弘「ピーナッツレクチン結合性糖鎖によるB細胞抗原受容体シグナル伝達の制御」第38回 日本糖質学会年会(8月 口頭発表)
  • Nurşah Ertunç、Thanyaluck Phitak、藤田洋、佐藤ちひろ、北島健「脊椎動物における硫酸化シアル酸の存在、生合成および生物学的重要性の解明」第38回 日本糖質学会年会(8月 口頭発表)
  • 内藤裕子「Change in sensitivity to bacterial toxin by lack of N-glycolylneuraminic acid」第92回 日本細菌学会総会(4月 招待講演)

総説・著書

  • 内藤裕子:進化への影響を検証するシアル酸分子種改変マウスモデル研究、生化学(日本生化学会編)、第92巻第2号 p.263-267、2020年
  • 内藤裕子(分担執筆):1章 生化学を学ぶにあたって、6章 核酸の基本、7章 遺伝子としての核酸、8章 核酸の代謝、ニューダイレクション 薬学生化学(北川裕之、山田修平 編)、京都廣川書店(2020年9月)

アクセス

  • 免疫医科学分野へのアクセス ⇒ 大学10号館1階101