プレスリリース

UVC紫外線照射装置による 新型コロナウイルス不活性化を国内初確認

藤田医科大学(愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98)の村田貴之教授(ウイルス・寄生虫学)らの研究グループはフジデノロ株式会社(愛知県小牧市多気南町361番地1/代表取締役社長 渡邊樹志)との共同研究により、国内の研究機関として初めてUVC紫外線照射装置の光源によるSARS-CoV-2(通称:新型コロナウイルス)の不活性化を確認しました。

研究の背景

2019年に中国より発生し、パンデミックとなっているSARS-CoV-2は、伝播性・感染性が高く、特に高齢者や基礎疾患のある方では重篤化するリスクが高いことも報告されているため、世界的な公衆衛生上の問題となっています。病原体の感染拡大を防止する手段の一つとして、紫外線(UV)による殺菌が有効と考えられております。特にUVCは殺菌力が高く、効果が高いと考えられています。しかし、SARS-CoV-2に対するUVCの効果に関しては十分な情報がありませんでした。UVCの有効性を確認する本研究は、SARS-CoV-2の感染拡大を防止するための重要な基礎的データとなります。
今回、本学の村田教授研究グループは、UVCによるSARS-CoV-2の不活性化実験を行い、フジデノロ社が販売を行っているUVC紫外線照射装置 『MoonBeam3』の光源により、SARS-CoV-2が強力に不活性化されることを実験的に明らかにしました。

実験内容

SARS-CoV-2のウイルス液(10μℓ)を、金属製の担体の面に擦り付け、乾燥させます。ウイルスが付着した担体にUVC紫外線照射装置『MoonBeam3』の光源、あるいは市販のA社製UV殺菌灯の光源を一定時間照射します。安全キャビネット内において実験を行う必要があったため、光源からウイルス付着担体までの距離は40cmとしています。照射後、担体に付着させていたウイルスを、培養液で縣濁、回収します。回収したウイルスを適宜希釈し、VeroE6/TMPRSS2細胞に感染させ、4日後にTissue culture infectious dose 50(TCID50)という指標を計算することで、殺ウイルス効果を評価しました。

※VeroE6/TMPRSS2は細胞バンクJCRBより入手し、SARS-CoV-2は神奈川県衛生研究所より入手しました。
※全ての実験は藤田医科大学内に設置されたバイオセーフティレベル3(BSL3)の実験施設において、適切な封じ込め措置を執りながら行いました。

研究成果

市販のUV灯を、2秒照射することで感染性ウイルスは95.5%減少、10秒照射することで99.99%減少しました。一方、フジデノロ社『MoonBeam3』は、0.5秒照射で98.7%減少、2秒照射で99.99%減少し、4秒後には検出限界以下となりました。99.99%の感染性減少にかかる時間は、市販UV灯では10秒、『MoonBeam3』では2秒であったことから、単純計算で『MoonBeam3』は市販UV灯の約5倍の効果があったと言えます。なおTCID50値は、同じ条件でそれぞれ3つの独立した試行を行い、グラフではその平均値を対数表示しています。

まとめ

今回の研究では、UVがSARS-CoV-2を不活化することを明らかにしました。特に強力にUVCを発生させることができる『MoonBeam3』は、市販UV灯に比較して5倍ほど高い殺菌力があることが示されました。